監督:ボー・バーナム
出演:エルシー・フィッシャー、ジョシュ・ハミルトン、エミリー・ロビンソン、キャサリン・オリヴィエ、ジェイク・ライアン、ルーク・プラエル、ダニエル・ゾルガードリ
原題:Eighth Grade
制作:アメリカ /2018
URL:http://www.transformer.co.jp/m/eighthgrade/
場所:Movixさいたま
『ヤング・アダルト・ニューヨーク』『20センチュリー・ウーマン』『レディ・バード』と、最近観た映画のなかで好きなものを並べてみると、どこか、似たトーンの映画であることに気がつく。古い殻を破って、新しい領域へ一歩足を踏み出そうとしてもがく人間を主人公としている映画ばかりだ。あとから調べてみると、どれも同じ「A24」と云うインディペンデントの製作会社が作る映画だった。自ら制作した映画の他に配給した映画まで含めると、『スプリング・ブレイカーズ』『複製された男』『エクス・マキナ』『手紙は憶えている』『フリー・ファイヤー』『魂のゆくえ』『パーティで女の子に話しかけるには』と、どれもその年の「良かった映画」として自分が選んでいるものばかりだった。監督が違えども、同じ方向性を保って、クォリティの高い映画を排出できる映画製作会社はすごいとおもう。昔のハリウッドの映画製作会社(特にワーナー・ブラザース!)やイギリスのイーリング・スタジオのようだ。
『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』も、内向的な性格を変えようと、いまのデジタルツールなども使ってもがき苦しむ中学生の女の子が主人公だった。自分も中学生のころは、どちらかと云えば自分の世界に閉じこもっているような性格の子どもだったので、この映画の主人公ケイラ(エルシー・フィッシャー)にすっかり感情移入してしまった。特に、親との関係から、とりたてて仲が良いわけでもない友だちの自宅のプールでの誕生パーティへ行かなければならないシーンは、ケイラの顔からだけでは想像もできないようなブヨブヨの体を水着でさらけ出さなければならない恥ずかしさも相まって、あまりの緊張感から映画館から逃げ出したくなるくらいに主人公と同化してしまった。
ただ、Twitterでこの映画の感想を見てみると、不快感を持っているTweetも多々あった。あとから考えてみれば、父娘の関係やクラスメートとの関係の描き方がややベタ気味だったかなあ。片時もスマホを離せないところや、安易にYoutubeやTikTokを使って発信するところなど、今のSNS偏重時代をシニカルに捉えていて、同時代の人間から見れば馬鹿にされているようにも見えたのかもしれない。
ああ、でも、なかなか良い映画だったとはおもう。
→ボー・バーナム→エルシー・フィッシャー→アメリカ /2018→Movixさいたま→★★★★