監督:細田守
声:上白石萌歌、黒木華、星野源、麻生久美子、吉原光夫、宮崎美子、役所広司、福山雅治
制作:スタジオ地図/2018
URL:http://mirai-no-mirai.jp
場所:109シネマズ木場

細田守のアニメーションを今まで観てきて、まだ『サマーウォーズ』のころはそこで描かれる先祖や家族に対するリスペクトを物語の一部として微笑ましく見守っていたけれど、それを何度も繰り返されるとなると、物語としての完成度が高くなければいくらなんでも、またか、になってしまう。今回の『未来のミライ』でもそれが繰り返されていて、少なくともタイトルが『未来のミライ』なんだから、主人公である4歳の男の子「くんちゃん」が未来から突然現れた女子高生の妹「ミライ」によって影響を受けて人間的な成長を見せるエピソードが中心なんだとおもったら、また単純に家族の系譜をさかのぼってノスタルジックな哀愁ばかりが強調されている映画にしか見えなかったのは辛かった。成長した未来の「くんちゃん」がよくあるフツーの高校生となって登場することの意味もわからなかった。「過去」よりも、もっと「未来」が重要なポイントとなっていたら細田守のアニメーションを再度評価し直していたかもしれないのに。

→細田守→(声)上白石萌歌→スタジオ地図/2018→109シネマズ木場→★★☆

監督:上田慎一郎
出演:濱津隆之、真魚、しゅはまはるみ、長屋和彰、細井学、市原洋、山﨑俊太郎、大沢真一郎、竹原芳子、吉田美紀、合田純奈、浅森咲希奈、秋山ゆずき
制作:ENBUゼミナール/2017
URL:http://kametome.net/index.html
場所:池袋シネマ・ロサ

Twitterで上田慎一郎監督の『カメラを止めるな!』がめちゃくちゃ面白い! との絶賛Tweetがあちらこちらから飛んできた。どんな映画なのかまったく知らなかったのでさっそくネットで調べてみると、監督も俳優も誰一人知らない自主映画的なノリの映画のようだった。

自主映画を観た時に、低予算から来る陳腐さを許容できるのか、白けてしまうのか、その自分なりの合否のラインはよくわっていない。ストーリーにもよるだろうし、観た時の体調にもよるだろうし、見知らぬ俳優にオーラを感じるか感じないかだけかもしれない。ただ、ひとつだけはっきりと云えることは、映画のプロットにアイデアがあると許容できる可能性が高いと云うことだ。

『カメラを止めるな!』はCS(だったかな?)のゾンビ映画ばかりを流すチャンネルの中で、ゾンビのドラマをワンカットで生放送をすると云う三谷幸喜のようなノリの制作現場を描いた映画で、冒頭の37分にいきなりその生放送のドラマを見せて、後半に撮影の舞台裏のドタバタを見せる二部構成になっていた。このような構成であることをまったく知らなかったので、いきなり手持ちカメラひとつの長回しで「ゾンビもの」を見せられたときには、「ゾンビもの」だったのか! とのちょっとした失望感(ゾンビ映画は好きなんだけど、なんでだろう? ちょっとした期待ハズレが)と、それにしてはゾンビとは関係のない護身術の話題をなんでこんなにダラダラと、とか、よくもまあ「あら、こんなところに斧が!」なんて陳腐なセリフを云わせるな、とか、これが話題の映画なのか? との疑問が湧いてしまった。いやー、ところが、そんな低予算で作られているだろうドラマの陳腐に見えるところがそのまま撮影の舞台裏のドタバタに直結する部分で、ああ、そう云うことだったのか! との疑問解決が起こす「気持ちのズレ」が大笑いを生み出し、その可笑しさが爽快感につながってしまった。映画はやっぱりプロットのアイデアが大切だ!

低予算で作られた映画の中で放送される低予算のドラマと云う、本流ではなくて端っこの方で映画やドラマを制作する人たちへの応援歌でもあるこのような映画が日本でもまだ出てくる素地があるのならば、シネコンで上映される「コミック原作もの」や「恋愛もの」だって、どうぞどんどんやってください、と云えるなあ。

→上田慎一郎→濱津隆之→ENBUゼミナール/2017→池袋シネマ・ロサ→★★★★

監督:ホン・サンス
出演:キム・ミニ、イザベル・ユペール、チャン・ミヒ、チョン・ジニョン、ユン・ヒソン、イ・ワンミン、カン・テウ、マーク・ペランソン、シャヒア・ファーミー
原題:Claire’s Camera
制作:韓国/2017
URL:http://crest-inter.co.jp/sorekara/crea/
場所:ヒューマントラストシネマ有楽町

今回のホン・サンス連続上映のラスト『クレアのカメラ』。

いろんな国の俳優がホン・サンスの映画に参加することがとても楽しみになってきている。日本からも加瀬亮が参加した『自由が丘で』があって、フランスからはイザベル・ユペールが参加した『3人のアンヌ』があった。もしホン・サンスがキム・ミニに固執するあまりにそれが失われることになると悲しいなあとはおもっていたけれど、この『クレアのカメラ』のように共演すると云う手はまだ残っていたんだ。でも、なんでだろう? 『クレアのカメラ』での二人の共演がうまくかみあっているようにはちょっとおもえなかった。

ホン・サンスの直近4作品の映画を観て、プライベートでもコンビとなる女優と組んで映画を撮り続ける、ってことに「私映画」のような艶めかしさを感じてしまってちょっと辛かった。どれも面白い映画ではあるんだけど、次もキム・ミニが主演ってのは、ちょっとかんべんしてもらいたい気分も半分くらい。

→ホン・サンス→キム・ミニ→韓国/2017→ヒューマントラストシネマ有楽町→★★★

監督:ロン・ハワード
出演:オールデン・エアエンライク、ウディ・ハレルソン、エミリア・クラーク、ドナルド・グローヴァー、タンディ・ニュートン、フィービー・ウォーラー=ブリッジ、ヨーナス・スオタモ、ポール・ベタニー
原題:Solo: A Star Wars Story
制作:アメリカ/2018
URL:https://starwars.disney.co.jp/movie/hansolo.html
場所:109シネマズ木場

「スター・ウォーズ」シリーズでハリソン・フォードが演じたハン・ソロの若かりし頃のエピソードをスピンオフするのに、やはりそこは「スター・ウォーズ」の基調となる西部劇っぽさをベースにして見せるのは正解だとはおもう。でも、若い頃のハン・ソロを演じるオールデン・エアエンライクが昔の西部劇っぽい力強さを持ち合わせていないと云うのか、今の役者はちょっと子供っぽいと云うのか、ジョン・ウェインやゲーリー・クーパーのような男のフェロモンをまったく感じさせないところがちょっと辛い。

もちろんハリソン・フォードだって昔のハリウッドの映画に出てくるような男優とは違うタイプだけれども、少なくともまだタフなイメージの残っている役者だった。もしかすると彼は昔のような骨太なオーラを持ち合わせていた最後の役者だったのかもしれない。今の役者はみんな線が細すぎる。

ミレニアムファルコンのコクピットでトグルスイッチをパンパンパンと入れていくシーンが何度もあったのは大満足!

→ロン・ハワード→オールデン・エアエンライク→アメリカ/2018→109シネマズ木場→★★★

監督:是枝裕和
出演:リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、城桧吏、佐々木みゆ、池松壮亮、緒形直人、森口瑤子、蒔田彩珠、山田裕貴、片山萌美、高良健吾、池脇千鶴、柄本明、樹木希林
制作:フジテレビジョン、AOI Pro.、ギャガ/2018
URL:http://gaga.ne.jp/manbiki-kazoku/
場所:109シネマズ木場

是枝裕和監督の『万引き家族』がカンヌ映画祭の最高賞である「パルム・ドール」を受賞したことが日本でも大きく報道された。日本の映画が海外の映画祭で賞を獲ることは大変うれしいことだけど、そのような映画賞を獲ることに熱心な監督がいつも同じ人なのが面白いと云うか残念と云うか。個人的には映画の賞なんて、アホらしい、とおもっている人のほうが好きだけど。

で、『万引き家族』を観るにあたって、日本映画専門チャンネルで是枝裕和監督の過去の映画を立て続けにざっと見た。『三度目の殺人』(2017年)は面白かった。そしてフジテレビのNONFIXで放送された「しかし… 福祉切り捨ての時代に」(1991年)「もう一つの教育〜伊那小学校春組の記録〜」(1991年)も面白かった。しかし、『ワンダフルライフ』(1999年)はその設定に乗ることが出来ず、『DISTANCE』はあまりにも役者のセリフが聞き取りにくかった。

この5本をざっと見渡して、そして観たことのある『幻の光』(1995年)、『誰も知らない』(2004年)、『空気人形』(2009年)、『そして父になる』(2013年)、『海街diary』(2015年)も合わせて考えてみると、是枝裕和監督は絶えずドキュメンタリーを意識しているんだなあ、ってことがわかる。でも、どちらかと云えば一番ドキュメンタリー描写からかけ離れた劇映画である『三度目の殺人』と純粋なドキュメンタリーである「しかし… 福祉切り捨ての時代に」「もう一つの教育〜伊那小学校春組の記録〜」が面白くて、劇映画にドキュメンタリー的な描写を入れようと腐心している映画があまりおもしろくなかったのは、やはりプロの役者を使っている以上、ふたつを融合することの限界が見えてしまうからなんだとおもう。『ワンダフルライフ』はすべて無名の役者か素人を使うべきだったんじゃないのかなあ。

『万引き家族』の場合も安藤サクラや樹木希林なんてものすごく演技が巧い。惚れ惚れするほどだ。ただ、配役に有名な役者ではなくてプロか素人かわからないような、それでもって自然なんだか演技なんだかわからないような人を持って来た時のことを考えると、いやあ、それが是枝裕和の求めているものじゃないのかなあ、なんておもったりもする。だから、ふたりの子役はもちろんベストな配役だった。

前から云うように、子供をダシに使ってやたらと幼気さをアピールする映画はハンディ、マイナス100ポイントだけど。

→是枝裕和→リリー・フランキー→フジテレビジョン、AOI Pro.、ギャガ/2018→109シネマズ木場→★★★☆

監督:蔵原惟繕
出演:渡哲也、吉永小百合、中尾彬、浜川智子、佐野浅夫、滝沢修、芦川いづみ
制作:日活/1966
URL:http://www.nikkatsu.com/movie/20949.html
場所:武蔵学園大講堂

毎年開催されている「被爆者の声をうけつぐ映画祭」も12回目を数えて、明治大学から武蔵大学に場所を移してからも4回目になった。今回は14日土曜日の午後6時に吉永小百合のトークショーがあるとの告知もあって、午後3時からの整理券配布には昔からの吉永小百合ファン、サユリストも多数詰めかけて大変な騒ぎになったのは驚いた。でも、整理券を配らなくても武蔵大学の大講堂は充分に収容できるキャパシティーがあったので、酷暑の中、老人たちを並ばさせるのはちょっとかわいそうだった。

吉永小百合による『愛と死の記録』の撮影裏話などを聞いてからの映画鑑賞は、あまりにもはっきりとしたテーマ(被爆者への差別)をストレートで表現する映画を飽きずに観るにはベストな流れだった。途中、35mm映写機(!)のトラブルがあって2回も中断したけれど、デジタル上映が主流となった今、こんなことに遭遇する機会も無くなるんだなあとしみじみ。

『愛と死の記録』はもちろん広島が舞台で、渡哲也が吉永小百合をバイクの後ろに乗せて街の中を疾走するシーンが出てくる。その中に海岸沿いを走るシーンがあるんだけど、その景色にどうも見覚えがある。それはおそらく広島市から呉市に向かう国道31号線だ! 昨年、呉へ旅行した時にそこを自転車で走ったので間違えない。ちょうど先日の西日本豪雨で国道31号線が土砂崩れで通行止めになったニュースが流れて、あっ! あそこだ! になっていたので、またの不意打ちの再会にやたらと親近感が湧いてしまった。また国道31号線を走りたいなあ。

→蔵原惟繕→渡哲也→日活/1966→武蔵学園大講堂→★★★

監督:ウディ・アレン
出演:ケイト・ウィンスレット、ジャスティン・ティンバーレイク、ジュノー・テンプル、ジム・ベルーシ、ジャック・ゴア
原題:Wonder Wheel
制作:アメリカ/2017
URL:http://www.longride.jp/kanransya-movie/
場所:ユナイテッド・シネマ豊洲

今年もウディ・アレンの映画がやって来てホッとしている。いつしか上映されない日がやって来るんじゃないかと、それは作らなくなるのか、作ってもAmazonでの公開だけだったりするのか、そんな日がすぐそこに来る予感をひしひしと感じながら。

『女と男の観覧車』はウディ・アレンの映画の中でも主人公が次第に追い詰められて行くシリアスなパターンの映画だった。最近では『ブルージャスミン』がそのタイプの映画で、ケイト・ブランシェットが演じる主人公のどん詰まり感は半端なく、彼女はその演技でアカデミー主演女優賞を受賞したのだった。そして同じケイトでもウィンスレットのほうも今回のウディ・アレンの映画の中で過剰な自尊心に押しつぶされて行く女性を演じていて、それはケイト・ブランシェットと同じようにアカデミー主演女優賞を獲ってもおかしくないくらいの熱演だった。

映画のラスト近く、ケバケバの化粧をして何故かドレスを着飾ったケイト・ウィンスレットを見て、エリア・カザン監督『欲望という名の電車』のヴィヴィアン・リーにぴったりと重なった。ウディ・アレンのテネシー・ウィリアムズ好きは有名で、『ブルージャスミン』でも『欲望という名の電車』との類似点を指摘されていたけれど、今回の『女と男の観覧車』はさらにそこへ近づいたような気がする。ロマン・ポランスキーと同じようにウディ・アレンと云う天才は常人には計りようがないけれど、そのスキャンダルな生涯の行き着く先を『欲望という名の電車』のブランチと重ねているとするとあまりにも自虐的と云うべきか…。

→ウディ・アレン→ケイト・ウィンスレット→アメリカ/2017→ユナイテッド・シネマ豊洲→★★★★

監督:ホン・サンス
出演:チョン・ジェヨン、キム・ミニ、コ・アソン、チェ・ファジョン
原題:지금은맞고그때는틀리다/Right Now, Wrong Then
制作:韓国/2015
URL:http://crest-inter.co.jp/tadashiihi/
場所:ヒューマントラストシネマ有楽町

今回のホン・サンス連続上映の3本目。この映画がキム・ミニとのコンビの第一作目だった。

自作の上映会で講演をするために水原(スウォン)市を訪れた映画監督が、観光名所として有名な華城行宮(ファソンヘングン)の福内堂(プンネダン)で知り合う女性との関係を、前半では上手く行かないパターン、後半では上手く行くパターンの二部構成で描いている。

前半と後半で描かれるエピソードはほとんど同じで、その中の微妙な差異が次第に広がって結果に影響を及ぼすように描いているところが面白い。おそらく、知り合って間もない人の創作物を見せられても、それを真面目にダメ出しする人間は、フツーの人ならばあまりいないとおもう。でも、もし映画監督として創作物に厳しく向き合っていれば、いくら素人の描いたものだとしてもそれを的確に批評することが、唯一無二の創作者としての正しい行動であって、そこで一時的に相手の機嫌を損ねたとしても二人の関係は表面的に取り繕うことのない真面目な関係を構築できる、って云うことなんだろうとおもう。

とすると「あの時は間違い」のパターンを示す意味はなんだろう? ホン・サンスの経験が示す反省なんだろうか。

→ホン・サンス→チョン・ジェヨン→韓国/2015→ヒューマントラストシネマ有楽町→★★★★

監督:ロマン・ポランスキー
出演:エマニュエル・セニエ、エヴァ・グリーン、ヴァンサン・ペレーズ、ドミニク・ピノン、カミール・シャムー
原題:D’après une histoire vraie
制作:フランス、ベルギー、ポーランド/2017
URL:https://kokuhaku-shosetsu.jp
場所:ヒューマントラストシネマ有楽町

(ホン・サンス『夜の浜辺でひとり』からの流れで)その点、ロマン・ポランスキーとエマニュエル・セニエのコンビの映画は落ち着いて観ることができる。それは、ロマン・ポランスキーがたどって来た数奇な人生をエマニュエル・セニエがしっかりと許容しているんじゃないかとの勝手な推測に寄るところが大きいのだけれど。

ロマン・ポランスキーの新作『告白小説、その結末』は、エマニュエル・セニエが演じている小説家デルフィーヌに対して、エヴァ・グリーンが演じている「エル(彼女)」と云うデルフィーヌの熱烈なファンが次第に取り憑いていくストーリー。

映画を観ると云う行為はストーリーの先読みをして行く行為でもあって、今までに数多くの映画を見てきたのだから『告白小説、その結末』での「仕掛け」に早く気が付いても良かった。ところが、なぜか今回は普通に観てしまったので、その「仕掛け」に気が付くのに遅れてしまった。ああ、あの、最初にデルフィーヌと「エル」がカフェで出会うシーンで気が付くべきだった。どうして「エル」はデルフィーヌの電話番号を知っていたのか、どうして行きつけのカフェまで知っていたのか。そこで「エル」と云うものの実体にいち早く不審をいだくべきだった。その後、なぜパソコンにログインするためのパスワードをはじめて会ったばかりの人間にすんなりと教えられるのか、どうしてメールを勝手に整理する行為に寛容なのか、と、おかしな行動があまりにも目に余って、「エル」が第三者と絡むシーンが皆無なことからやっと気が付いたのだった。

でも、「エル」が忙しいデルフィーヌの代わりに、彼女に扮して高校の講演会へ行った(とされる)時の学校の司書にガソリンスタンドでばったりと会くわして、よくもすっぽかしたな! と問い詰められるシーンは、「エル」の意味に気が付くのが遅かったからこそめちゃくちゃ怖かったんだとおもう。だから、純粋に騙されて映画を観ていくのも悪くはないんだけどね。

→ロマン・ポランスキー→エマニュエル・セニエ→フランス、ベルギー、ポーランド/2017→ヒューマントラストシネマ有楽町→★★★★

監督:ホン・サンス
出演:キム・ミニ、ソ・ヨンファ、クォン・ヘヒョ、チョン・ジェヨン、ソン・ソンミ、ムン・ソングン、アン・ジェホン、パク・イェジュ、カール・フェダー、マーク・ペランソン、ベッティナ・スタインブリュッゲ
原題:On the Beach at Night Alone
制作:韓国/2017
URL:http://crest-inter.co.jp/yorunohamabe/
場所:ヒューマントラストシネマ有楽町

今回のヒューマントラストシネマ有楽町でのホン・サンス連続上映の2本目『夜の浜辺でひとり』。

この映画の主演によってキム・ミニが第67回ベルリン国際映画祭で韓国人俳優初となる主演女優賞を獲得した。確かにこの映画はホン・サンスによるキム・ミニの映画であって、キム・ミニの魅力だらけの映画になっていた。が、先週観たホン・サンスの『それから』でもちょっと感じてしまったのだけれど、実生活でもパートナーとなる監督と女優がそのままコンビで撮る映画の危うさってものも感じてしまって、大きなお世話なんだけど、ああ、この二人はそんなに長続きしないんだろうなあ、ともおもってしまったり。

ホン・サンスとキム・ミニの映画はとても魅力的な映画だけれど、私小説のような映画が見せる生々しさに若干引いてしまって、二人の関係のことなど知らずに素に観たかったなあとおもう次第でありました。

→ホン・サンス→キム・ミニ→韓国/2017→ヒューマントラストシネマ有楽町→★★★☆