監督:ジョエル&イーサン・コーエン
出演:ジョシュ・ブローリン、ジョージ・クルーニー、オールデン・エアエンライク、レイフ・ファインズ、ジョナ・ヒル、スカーレット・ヨハンソン、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントン、チャニング・テイタム
原題:Hail, Caesar!
制作:アメリカ/2016
URL:http://hailcaesar.jp
場所:109シネマズ木場
コーエン兄弟の映画の中には、なんだこりゃ、な映画がときどき出てくる。それが良い方向に転ぶ場合と、さっぱりつまらない方向に転ぶ場合があって、今回はむかしのハリウッド映画が好きな人にとっては良い方向に転ぶ映画になっていた。
『ヘイル、シーザー!』は、50年代のハリウッドシステムの中の映画スタジオが舞台で、その当時のハリウッドスターや監督、脚本家を彷彿とさせる人物が出てくるところが面白い。以下が、たぶんあの人がモデルなんじゃない? のリスト。
・エディ・マニックス(ジョシュ・ブローリン)
MGMに実際にいた同名のエディ・マニックスがモデルらしい。もちろんそのような細かいプロデューサーの名前は知らなかったので、なんとなく、とあるプロデューサー、の感覚で見ていた。
・ベアード・ウィットロック(ジョージ・クルーニー)
映画の中で撮られている映画「ヘイル、シーザー!」がどうみても『ベン・ハー』っぽいので、なんとなくチャールトン・ヘストンかな、と思っていた見ていたけど、あとで調べるとヴィクター・マチュアがモデルらしい。たしかにヴィクター・マチュアは大根役者って云われてた。でも、ばりばり右側のチャールトン・ヘストンが共産主義に同調しちゃうのはコーエン兄弟特有のブラックジョークにも見えるので、それでもいいのかなと。
・ローレンス・ローレンツ(レイフ・ファインズ)
『ベン・ハー』っぽい映画を撮っている監督なので、そのまま連想すればウィリアム・ワイラーなんだけど、ゲイの要素が加わっているので、ジョージ・キューカーだな、と軌道修正。ローレンス・ローレンツの語呂から、マンキーウィッツ、かなとおもったりもした。
・ホビー・ドイル(オールデン・エアエンライク)
このカウボーイ役者は、ロイ・ロジャースだな、とおもって見ていた。ジーン・オートリーと云う線もあるのかな。
・バート・ガーニー(チャニング・テイタム)
水兵の格好で歌って踊るのはどう見てもジーン・ケリー。でも、あの仏頂面はまったくジーン・ケリーには見えない。海を渡ってハリウッドを離れてしまうのはチャップリン?
・ディアナ・モラン(スカーレット・ヨハンソン)
見るからにモデルはエスター・ウィリアムズ。に加えて、スキャンダラスな感じはラナ・ターナーが入っているのかな、とおもったけど、あとで調べると、未婚で子供を産んでしまうのはクラーク・ゲーブルの子を産んだロレッタ・ヤングがモデルらしい。
・ソーラ・サッカー/セサリー・サッカー:ティルダ・スウィントン
このゴシップ記者は、ヘッダ・ホッパーかルエラ・パーソンズで間違いなし。さらに調べると、新聞の人生相談コラムで人気のあった双子のアビゲイル・ヴァン・ビューレンとアン・ランダースと云う人物がいて、それもモデルとして加わっているらしい。
共産主義者の集まりはハリウッド・テンか!
さらに、映画の編集者としてフランシス・マクドーマンドが出て来て、フィルムを送る機械にマフラーが巻き込まれて死にそうになるシーンが傑作! あの編集者のモデルはいるのかな。
このように、古いハリウッド映画が好きな人には楽しめるけど、それ以外の人には、なんだこりゃ、だけで終わってしまうんだろうなあ。
→ジョエル&イーサン・コーエン→ジョシュ・ブローリン→アメリカ/2016→109シネマズ木場→★★★☆