監督:岩井俊二
声:蒼井優、鈴木杏、平泉成、相田翔子、キムラ緑子、木村多江、勝地涼、黒木華、鈴木蘭々、郭智博
制作:ロックウェルアイズ、スティーブンスティーブン/2015
URL:http://hana-alice.jp
場所:T・ジョイ大泉
2004年の岩井俊二の映画『花とアリス』の前日譚としての今回の映画『花とアリス殺人事件』がなぜアニメーションなのかと疑問におもいつつ、それもロトスコープ(モデルの動きをカメラで撮影し、それをトレースしてアニメーションにする手法)を使うアニメならばなおさら、そのままの実写映画で何が問題なのかとの疑問はまったく拭いきれず、実際に映画を観てもやっぱりアニメにする必要性はまったくなかったんじゃないかとの確認ができただけだった。でも、その時にハッと現在の鈴木杏の顔が大きく浮かんできた。ああ、そうか、もう実写では無理なんだ! と納得してしまった。Googleで女優の名前と一緒に「劣化」と云うキーワードで複合検索する奴らって何なん? と日ごろから憤慨していたけど、うーん、鈴木杏は確かにとても残念だ。もちろん『花とアリス』から10年も経っているので、どっちにしたってそのままのキャストでは無理なんだろうけど。
岩井俊二の映画は、『Love Letter』を代表格として、偶然が巻き起こす不思議なエピソードがロマンチックに、そして時にはセンチメンタルに綴られて行って、ラストにはエピソードを収斂させるような見せ場となるシーンを必ず持って来て、見終わった後の感動の余韻を持たせるのがとても巧い。『花とアリス』では鈴木杏の涙ながらの嘘の告白をクローズアップで撮ったショットが素晴らしかったし、今回の『花とアリス殺人事件』でも、幼なじみの「ユダ」に再会して「お前が背中に蜂を入れたことは絶対に忘れないからな!」と云わせるシーンはなかなか良かった。もちろん、2004年の鈴木杏での実写であるべきだとはおもったけど。
映画の途中に、黒澤明『生きる』の志村喬と小田切みきがデートするシーンのそのままコピーのようなエピソードが出て来た。あれはいったい何だったんだろう? ってことをTweetしたら、他にも黒澤明的なシーンがあるらしいですよ、とのReplyが来た。何だろう? と映画的記憶をひっくり返したけど、さっぱりおもい浮かばない。あまりにも気持ちが悪いのでネット検索したら『天国と地獄』だった。
スナック芸大全 第88芸 天国と地獄
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この紙切り芸が映画の中で使われただけだった。そんなの、わかるわけがない。
この紙切り芸を映画の中では鈴木蘭々の「陸奥睦美」が行う。あれ? このキャラは『花とアリス』に出て来たんだっけ? いや、これは『Love Letter』の「及川早苗」がモデルでした。
→岩井俊二→(声)蒼井優→ロックウェルアイズ、スティーブンスティーブン/2015→T・ジョイ大泉→★★★☆