監督:ミシェル・ゴンドリー
出演:マイケル・ブロディ、テレサ・リン、レイディーチェン・カラスコ、レイモンド・デルガド、ジョナサン・オルティス、ジョナサン・ウォーレル、アレックス・バリオス、メーガン・マーフィ
原題:The We and the I
制作:アメリカ/2012
URL:http://www.weandi.jp/
場所:シアターイメージフォーラム
スパイク・ジョーンズとチャーリー・カウフマンが組んだ『マルコヴィッチの穴』と『アダプテーション』はこちらの想像のはるか上を行くストーリー展開で、とてもヘンテコな映画だったのが素晴らしくて、彼ら二人の名前をしっかりと覚えることとなった。そしてその後にチャーリー・カウフマンが脚本を書いた『エターナル・サンシャイン』もこれまたヘンテコなSF映画で、それを監督したミシェル・ゴンドリーの名前もしっかりと心に刻むと同時に、彼がビョークのミュージック・ビデオを監督していたことを知って、スパイク・ジョーンズからの流れはミュージック・ビデオ繋がりなのかと納得したりもした。
ところが、それからミシェル・ゴンドリーの追いかけをすっかり忘れてしまって、一部で話題になった『僕らのミライへ逆回転』も見逃してしまった。『グリーン・ホーネット』は見たが、まあ、これは雇われ映画のようなもので、ところどころにミシェル・ゴンドリーらしさがあるけど、もともとイメージが確立されているキャラクター映画にヘンテコさを期待するのは無理だった。
この『ウィ・アンド・アイ』は、ミシェル・ゴンドリーの映画にしてはなぜかひっそりと公開されていたので下手をすれば見逃すところだったのだけれど、いまはTwitterで情報が入ってくるので何とか、それでも最終日に! 観に行くことができた。内容は、スパイク・ジョーンズ&チャーリー・カウフマン的なヘンテコさはなくて、ちょっとローラン・カンテ監督の『パリ20区、僕たちのクラス』にも似た、実際の素人の高校生を使った半ドキュメンタリーな映画だった。ミシェル・ゴンドリーは、ニューヨークのブロンクスにあるコミュニティ・センター「ザ・ポイント」に集まる実在の高校生たちに3年にもわたってインタビューを重ねて、このリアルな会話や行動やしぐさを再現したらしい。そこに、ヒップホップのミュージック・ビデオ的なテンポを加味して、ニューヨークの高校生の生態を生々しく描き出している。
『パリ20区、僕たちのクラス』の時にも感じたことだけど、このような方式のほうはが実際のドキュメンタリーよりも我々の期待するドキュメンタリーを表現しているようで面白い。結局、ドキュメンタリー映画なんて、いかにして作為を自然に見せるかだけなので、それがフィクションであろうがなかろうが、その映画を見ているものがそこにリアルさを感じれば、ドキュメンタリーと謳っている映画よりもよりドキュメンタリーなんだとおもう。
→ミシェル・ゴンドリー→マイケル・ブロディ→アメリカ/2012→シアターイメージフォーラム→★★★★