猿の惑星: 新世紀

監督:マット・リーヴス
出演:アンディ・サーキス、ジェイソン・クラーク、ゲイリー・オールドマン、ケリー・ラッセル、トビー・ケベル、ジュディ・グリア、コディ・スミット=マクフィー
原題:Dawn of the Planet of the Apes
制作:アメリカ/2014
URL:http://www.foxmovies-jp.com/saruwaku-r/
場所:新宿ミラノ

スウェーデン映画の『ぼくのエリ 200歳の少女』をハリウッドでリメイクした『モールス』が素晴らしかったマット・リーヴスが、今度は「猿の惑星」の新シリーズを撮った。

ドラマの構造としては往年の西部劇をおもい出した。エイプをインディアンに代えれば、1950年のデルマー・デイビス監督の『折れた矢』のストーリーとそっくりだった。ジェイソン・クラークがジェームズ・スチュアートで、エイプのシーザーがアパッチ族の大酋長コチーズで、シーザーに反旗を翻すコバが若いインディアンのジェロニモだ。まあ、このあたりの構造のドラマは、元を辿ればシェークスピアの「ロミオとジュリエット」になるのだろうけど、映画の原作になるピエール・ブールの「猿の惑星」が、第二次世界大戦中に日本軍の捕虜となった経験から書かれたのではないか(ピエール・ブールがそのことに言及したことはないらしい)と前作の『猿の惑星: 創世記』の公開時に話題になったことから、なんとなく、同じ有色人種であるインディアンのストーリーをおもい浮かべたのだった。

二つの対立軸があって、その中に穏健派と強硬派がいて、対立軸の双方に通じ合う人物がいるような構造のドラマが絶えず作られるのは、そこに映画を観ているもののエモーションを呼び起こしやすい構造があるからなんだとおもう。とは云え、そのような構造を持ってしても面白くない映画はいっぱいあるのだけれど、マット・リーヴスはさすがに巧かった。特にエイプたちのキャラクターをキッチリと描き分けて、それがストーリーにしっかりと効いているのが良かった。無残に殺されるアッシュがちょっと可愛そうだったけど。

→マット・リーヴス→アンディ・サーキス→アメリカ/2014→新宿ミラノ→★★★☆

レッド・ファミリー

監督:イ・ジュヒョン
出演:キム・ユミ、チョン・ウ、ソン・ビョンホ、パク・ソヨン、パク・ビョンウン、カン・ウンジン、オ・ジェム、パク・ミョンシン、キム・ジェロク
原題:붉은 가족
制作:韓国/2013
URL:http://redfamily.gaga.ne.jp
場所:新宿武蔵野館

韓国で疑似家族を演じている北朝鮮の工作員たちと、その隣の家に住む資本主義にどっぷりとつかってケンカばかりしている韓国のどうしようもない家族を対比させて、そこから真の家族のあり方が見えてくるような構成にしている映画は面白いとおもったけれども、ことあるごとに北朝鮮に残してきた家族への愛情が引き合いに出されて、感傷的な感情を煽るだけなのはちょっと退屈してしまった。もうちょっとシニカルな、アイロニーたっぷりな描写も必要だったんじゃないのかなあ。そして、もっと笑えたら良かった。予告編では笑いながら泣ける映画をイメージさせていたので、あまりにも笑えなかったので肩透かしを食ってしまった。キム・ギドクの脚本に笑いを求めるのは無理だったのかなあ。だったら、ラストはもっと辛辣でも良かったのに。

→イ・ジュヒョン→キム・ユミ→韓国/2013→新宿武蔵野館→★★★

小豆島の3日目は午前8時半にホテルをチェックアウトして、自転車で坂手港に向かう。
港のコインロッカーに荷物を預けて、今日は寒霞渓(かんかけい)に行くことにする。
寒霞渓とは小豆島の中心部に位置する渓谷で、星ヶ城山山頂は瀬戸内海の最高地点になるらしい。

昨日、自転車屋のおじさんに、小径自転車で寒霞渓まで登るのは無理、と云われたので、ここはきっぱりとあきらめて、バスで行くことにする。草壁港から寒霞渓のふもとの紅雲亭までバスが出ているのだ。
またまた自転車で国道463号を取って返して草壁港へ向かう。いったい国道463号をもう何往復しているんだろう。

国道463号

自転車は港の自転車置き場に置いて、さあバスに乗ろうと、土産物屋のおばさんに紅雲亭行きのバス乗り場はどこですか? と聞くと、今日はバスは無いと云う。紅葉の観光シーズンや土日以外はバスは無いんだそうだ。がーん、そうなのか? 事前にネットで調べた範囲ではそんなことは書いてなかったような気がするけど、はなからバスが無いなんておもってもいなかったので、詳しい注記を見逃したのかも知れない。

バスが無ければ交通手段としてはタクシーしかないので、タクシー会社に電話してみる。で、紅雲亭までいくらですか? と聞くと2300円くらいだと云う。うーん、往復で4600円かあ。それは高いよなあ。どうしよう。そんなにお金を払ってまでして行く所なのか? 自転車で行っちゃおうか、寒霞渓に行くのはやめて違う場所にしちゃうか、などなど、頭の中がぐるぐると回るけど、結局タクシーを頼んでしまう。

タクシーが来るまでにいろいろと思考をめぐらしていると、あ、そうだ、自転車を折り畳んでタクシーに積み込ませてもらおう、と云う名案がおもいついた。そして帰りは自転車に乗って下ってくればいいのだ!

タクシーが来て、運転手のおじさんに、折畳み自転車を載せて良いですか? と聞くと、良いよ、と云ってくれた。
早速、自転車を折り畳んで、後部座席に積み込ませてもらう。

行きがてら、運転手のおじさんと話し込んでいると、平野甲賀さん、公子さん夫婦を知っていると云う。二人は車を持っていないので、タクシーをよく利用するらしい。そして二人の家は、ほら、この辺だよと、草壁港から紅雲亭へ行く途中で教えてくれる。

紅雲亭に着くと、寒霞渓までロープウェイが出ているので、それに乗る。
5分足らずで寒霞渓に着く。

寒霞渓ロープウェイ

さらにそこから2kmくらい登って、小豆島の最高峰、星ヶ城山山頂を目指す。
平日だし、来ている観光客と云えば観光バスで乗りつけてくるおばちゃんばかりなので、山頂を目指す人なんてだ〜れもいない。
観光客のいない山道を一人でもくもくと登って行く。先週の台風の所為か、大きな倒木が行く手を阻むけど、森の中を迂回しながら進む。

寒霞渓

寒霞渓

やっと山頂にたどり着いて、一人でまったりとする。
聞こえるのは鳥の声のみ。
あ〜、気持ちいい。

寒霞渓

ここまで登って来て、はっきりとする。
海と山の小豆島はいいなあ。
ゴミゴミした東京になんて帰りたくない。

寒霞渓

でも、帰らざるを得ない。
自転車で紅雲亭から草壁港まで一気に駆け下りる。
途中、小径自転車で登っている人がいた!
目配せして、挨拶し合ったけど、ごめん、こっちはズルしてタクシーで来たんだ。

寒霞渓

サルもいた!
イノシシやシカで出るよ、と云われたけどなかなか野生動物には会えず、最終日にやっとサルに会えた。

寒霞渓のサル

坂手港から午後3時45分のジャンボフェリーに乗って神戸に向かう。

ジャンボフェリー

そして、神戸港から自転車をひとっ走りで新神戸駅に向かう。
一歩進むごとに、どんどんと人が増えるような感じで、だんだんと現実に引き戻される。
サラリーマンでいっぱいの新幹線は3時間で東京に着いてしまう。
東京からまた自転車に乗って家に向かう。
なんだか寒霞渓からそのまま家まで自転車で走ってきたような錯覚に陥る。
自転車は亀だ。自分は浦島太郎だ。
ただ秋の夢のごとし。

小豆島の2日目の朝は午前8時半くらいに宿を出て近くの道の駅に向かう。
そして、小豆島と云えば手延そうめんらしいので、それを食う。

手延そうめん

まあ、そうめんだ。

今日は最初に三都半島をぐるりと周って、東京から小豆島に移り住んでしまったイラストルポライターの内澤旬子さんの家へ向かう予定だったけど、いきなり小雨が降って来た。うーん、そんな話し、まったく聞いてない。
でも、たいした雨ではないので、ちょっと濡れながらもぐんぐんとペダルを漕いで半島を南下する。

三都半島

事前の調査でわかってはいたのだけれど、やっぱりこの半島の南側は正直きつかった。
海岸沿いを走ると云っても、そのまま海の近くを走るわけではなくて、海からすぐに屹立している山の上の道も通らなければならないわけだから、急勾配はあちこちにある。
特に、半島の一番最南端にある地蔵埼灯台あたりが小径自転車ではとても無理で転がして登って行かざるを得なかった。

地蔵崎灯台

こんな調子で午前中に内澤さん家に着くんだろうかと不安になったが、まあ、なんとか教えてもらったあたりの場所に着いた。
で、そこから電話をすると、どうやらだいぶ行き過ぎてしまったらしい。内澤さんの誘導でなんとか家にたどりつく。
いやあ、海の見える、素晴らしい家だ。
念願のカヨちゃんにも会う!
ちょっと内澤さんがいなくなると、メエメエ、哀しげに泣く。かわいい。

カヨちゃん

家に上がらせてもらって島での暮らしなどをいろいろと聞いていると、程なくして八巻さんとサウダージ・ブックスの浅野さんが車でやって来る。
浅野さんが加わると島での虫被害の話しになって、内澤さんはスズメバチ、浅野さんはムカデの対処にいかに苦労しているかの話題になる。食器洗いの洗剤ジョイが死ぬんだよねえ、でも島の排水って直接川に流れてるのでこんな強力な洗剤を使ってもいいんだろうか? なんて話しにもなる。
考えてみたら東京って虫が駆逐されているんだよなあ。人間にとってはそれでも良いのかも知れないけど、自然にとってそれが正しい姿だとはとてもおもえない。

内澤さんの家を小一時間ほどでお暇して、そして八巻さんと浅野さんとも別れて、また自転車で走り出す。
次は、木下恵介監督の『二十四の瞳』の中で高峰秀子が自転車で走ったルートをなぞるのだ。

まずは、高峰秀子が演じていた大石先生の家があったとされる「竹生の一本松」からスタート。

竹生の一本松

途中までは、昨日走った海岸沿いのコースを逆に走ることになる。
草壁港を越えたあたりで、昨日も気になったマルキン醤油の工場などをちょっと覗いてみる。
写真をバシャバシャ撮っていたら、従業員の若いお兄さんに、ここは立ち入り禁止です、と怒られてしまった。

マルキン醤油

マルキン醤油

マルキン醤油

まっすぐに行けば昨日のフェリーの着いた坂手港になる交差点を右折して『二十四の瞳』の岬の分教場を目指す。
ここからが岬をめぐるルートになるので、アップダウンが少し激しくなる。
『二十四の瞳』の大石先生が毎日この片道13kmのルートを往復走っていたとなると、足にはしっかりとした筋肉が付いていたはずだ。

国道436号

『二十四の瞳』の舞台となった岬の分教場こと田浦分校は、明治35年(1902)に田浦尋常小学校として建築された葺平屋建校舎。その後、明治43年から苗羽小学校田浦分校となって昭和46年(1971)まで使われていた。その教室は保存されて、当時のままの机やオルガンを見ることができる。

岬の分教場

岬の分教場

その岬の分教場から南へ600m進んだところに「二十四の瞳映画村」がある。ここは、1987年に朝間義隆監督、田中裕子主演でリメイクされた『二十四の瞳』のロケ用オープンセットを改築したもので、木造校舎、男先生の家、漁師の家、茶屋、土産物屋などがそのまま残っている。また、壺井栄文学館もあって、生前壺井栄が愛用していた調度品や各作品の生原稿などを展示しており、映画館「松竹座」では、木下恵介版『二十四の瞳』を常時上映している。

二十四の瞳映画村

二十四の瞳映画村

大石先生

さあ今度は、ここから来た道を戻って、坂手港のほうへ行って、さらにその先の大角鼻灯台のほうへ行こうとおもったら、朝方と同じようにまた小雨が降ってきた。時間も午後4時近くて、下手すると帰りは小雨の上に真っ暗な道を走ることになってしまう。それは怖い。やはり都市部と違って、夜の闇は濃い。
泣く泣く、宿のある池田港へ戻ることにする。

池田港

今日は67kmを走った。
もうちょっと走りたかったけど、おもったよりも小豆島の地形は厳しい。起伏が激しくて、小径自転車ではこんなところが精いっぱいだった。

国民宿舎小豆島から


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小豆島へ行くにはいろいろなルートがあるのだけれど、自転車を折り畳まずにそのまま乗せられるフェリーが良いとおもって、神戸港発のジャンボフェリーで行くことにした。でも、昼間の便で行ってしまうと、神戸港から小豆島の坂手港まで3時間もかかるので、初日が小豆島へ行くだけでつぶれてしまう。それじゃつまらないので、夜中の1時に神戸港を出発して、高松東港を経由して朝の7時半に小豆島の坂手港に付く便に乗ることにした。

ジャンボフェリー

で、そのジャンボフェリーには小さいながらも個室が用意されている。

ジャンボフェリーの個室

他人と雑魚寝する畳敷きの部屋よりも、個室の方がくつろげて眠ることが出来るんじゃないかと淡い期待をしたんだけど、いやいや、エンジン音がうるさすぎて無理だった。この個室のある下の階よりも上の階にある雑魚部屋や座席のほうがどちらかというと静かで、わざわざ個室料として2000円も追加する必要はなかったのかもしれない。電源も個室にはないけど各座席には付いているんだし。

眠れないにしても、まどろみの中でウトウトとしていると、しばらくしてからいきなり「ジャンボフェリ〜♪」と音楽が流れ出した。80年代のアイドルが歌うようなポップスの曲で、なんじゃこりゃ、と突っ込みをいれたくなってすっかり目が覚めてしまう。

どうやら高松東港に着いたらしい。時計を見ると午前4時半くらい。この曲のせいでウトウトも出来なくなったので、上の階の座席が並んでいる部屋に行って、iPhoneの充電をしながら、小豆島の事前調査を行う。

ジャンボフェリー

午前7時半、坂手港に着く。
さあ、自転車だ!
不安定なサドルで、八巻さんの待つ土庄(とのしょう)港まで行かなければならない。果たして19kmを走りきれるのか。


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おもっていたほど道のりは順調に進んで、きつかったのは草壁港から池田港へ向かう三都(みと)半島の付け根の部分の坂道だけだった。でも、それを越えればあとはスムーズに。1時間半くらいで到着。

すぐさま八巻さんの泊まっているオーキドホテルのフロントの人に聞いて、近くの自転車屋へ行ってみることにする。
サドルのレール部分は規格が統一していて、まあ、なんとか新しいサドルを取り付けることが出来た。料金1800円。
そして、自転車屋のおじさんに、小豆島の寒霞渓(かんかけい)にはこの自転車で登れるとおもいますか? と聞いてみる。
最終日に小豆島の中心部に位置する寒霞渓に行ってみようとおもっていたのだ。
そうしたら、いや〜、無理無理! との返事だった。
登っている人もいるけどね、この小径自転車じゃ無理だろう、とのこと。

すぐさま土庄港に取って返して、自転車は港の自転車置き場に置いて、10時30分の豊島(てしま)行きの高速艇に乗る。

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島の生活は船の生活だよなあ。
本数もそんなにないので、船の時間に合わせた生活になる。
ゆったりとした、静かな時間の流れ。

豊島の唐櫃(からと)港ではサウダージ・ブックスの浅野さんが待っていてくれた。
そして、浅野さんの車で豊島を一巡り。
豊島のいろいろなところを見させてもらう。
天気も良くて、島が奇麗だった。

豊島

豊島

豊島

海のレストラン

海のレストラン

豊島から

坂手港から自転車で走り出した時に、何かしら、島の匂い、ってものを感じたけど、ああ、それはオリーブだった。
それにプラスして、草壁港あたりでは醤油の匂いだった。

オリーブ

今回の小豆島・豊島行きの目的の一つが、浅野さんに預かってもらっている青空文庫の本がどんな状態なのか見ることだった。
その青空文庫の本は、主に富田さんの書斎にあった本で、およそ1200冊くらいある。

aozorablog:豊島の青空文庫

ここをサロン風に開放すればいいんじゃないかとおもったけど、ちょっと唐櫃港からはあるのかなあ。
まあ、豊島へ行く人なんてそうはいないだろうけど、でも、島にあるリアル青空文庫って雰囲気が好いんだけど。

そして夜は、小豆島の池田港の近くにある「タコのまくら」でのオープニングイベント。
「タコのまくら」は、小豆島でシーカヤックやツアーガイドをしている自然舎の山ちゃん(とみんなからそう呼ばれていた)が開いたお店で、海辺の古民家を改装したお店でものすごく雰囲気が好い。
その様子は以下のブログを参照。

【今日のあるく•みる•きく】小豆島「タコのまくら」に行ってきました。

東京からも私と八巻さん、そしてボイジャーの萩野さん、蒲生さんも来ていて、こちらに移住した平野甲賀さん、公子さん夫妻、内澤旬子さんとも再会できてとても楽しかった。
ちょうど皆既月食もあって、すばらしい夜だった。

タコのまくら

小豆島・豊島へ行くために、まずはこだま(急ぐ必要がまったくなかったので)で新大阪まで行き、JR京都線快速で三ノ宮まで行く。

ちょうど仕事終わりの人たちのラッシュに当たるだろうとおもって、袋に入れた折畳み自転車がお客の邪魔にならないようにと、一番前の車両の運転席すぐ後ろの壁に立て掛けて電車に乗った。
案の定、ぎゅぎゅうと云うわけじゃないけど、人と人の隙間がないくらいの混雑になって、読み通りとほくそ笑む。
でも、少しは途中の駅で降りるだろうと期待していたら、尼崎、芦屋なんて、そんなに人が降りないんだね。
えっ、じゃあ、もしかすると三ノ宮でも人が降りないのか?
降りないとなると、降りまーす! とか叫んで、人を外にはじき出すようにして、折畳み自転車を外に出さなければならないのかと不安になったけど、さすがに三ノ宮ではどかどかと人が降りました。と云うか、一番前に乗ったほうが階段に近かったりして、混雑するわけだ。

今まで通過するだけだった神戸にはじめて降り立つ。自転車と一緒に。

神戸

身軽になるために、すぐさまジャンボフェリーの乗り場まで自転車で行って、コインロッカーに荷物を預ける。
すでに切符も買えるかとおもったら、愛想のない切符売り場のおねえさんに、午前1時の便の販売は午後10時からです、と告げられる。

ジャンボフェリー・ターミナル

で、神戸で飯でも食おうかと目星を付けていた「洋食の朝日」が、今は昼間しかやっていないことがわかって、さあどうしよう、になってしまう。
こだまになんか乗ったから充電も出来ずにiPhoneもバッテリー切れになりそう。
近くのauショップを検索をしてすぐに駆け込んだけど、充電は出来るけどiPhoneは預かれないと云うので、午後8時の閉店までずっと付き添って充電させて、お店を検索し続ける。

神戸と云ったら洋食だろう!と、洋食優先で検索したのがあだで、これがなかなか決まらない。また、ぐるぐると神戸を自転車を乗り回していたらいつの間にか中華街に迷い込んで、店頭売りの中国人のおばさんに、半額ね! と云いくるめられて、肉まんとかゴマ団子とか鶏のからあげとかを買わされてしまう。でもこれで300円なら安い!
まだ夜中の1時まで時間が充分にあるので、これを食いながら映画でも観よう。

もちろんタダで観られる109シネマズへ行くわけだけど、これが三ノ宮から遠い!
神戸の東の外れの、阪神電鉄本線の岩屋駅に近い所まで自転車を走らせる。

観光客が絶対に来ないような、人の少ない神戸を自転車で走って、やっと109シネマズHAT神戸の自転車置き場に自転車を止めようとした瞬間に、パキーンと音を立ててサドルが外れてしまう!

え、えっーーーー。

サドルをシートポストと固定している部分のサドルレールが折れた!

よりによって、なんで、このタイミング。

サドルレール

いやいや、予兆はあったんだようなあ。
ここのところサドルに異音がして、何かおかしいな、とはおもっていたんだよね。

ここですぐさま自転車屋を検索するが、どこも20時までの営業時間。もうすでに20時半になっていた。
外れたサドルをシートポストに乗せて、グラグラして安定はしていないけど何とかお尻を乗せられるので、ダメ元と、岩屋駅近くの自転車屋へ向かう。
でもやっぱり、シャッターが閉まって真っ暗。

映画なんて観てる余裕はすっかり吹っ飛んだので、ここはまず三ノ宮まで戻ろうと考えてまた自転車を走らせる。
そうしたら、午後9時を過ぎているのに、100円ショップのダイソーが開いている。
もちろん自転車の部品を100円で買えるわけはないんだけど、サドルをシートポストに固定するためのアイデアが何か浮かぶような気がしたので入ってみる。
そして、針金とラジオペンチを買う。これで200円ってのは凄い。

ジャンボフェリーの乗り場に近い、神戸の南の公園に行って、針金とラジオペンチで試行錯誤して見るが、うーん、ダメだった。無理。
でも、まあ、不安定ながらサドルにお尻を乗せて、ここまで走って来ることができたわけだから、なんとかなる。

明日、考えよう。

神戸

ジャージー・ボーイズ

監督:クリント・イーストウッド
出演:ジョン・ロイド・ヤング、エリック・バーガン、ヴィンセント・ピアッツァ、マイケル・ラマンダ、クリストファー・ウォーケン、キャサリン・ナルドゥッチ、フレイヤ・ティングレイ、マイク・ドイル、ジョニー・カニツァロ、ドニー・カー、ジョーイ・ルッソ
原題:Jersey Boys
制作:アメリカ/2014
URL:http://wwws.warnerbros.co.jp/jerseyboys/
場所:109シネマズ木場

フォー・シーズンズの「シェリー(Sherry)」を聞いたのはいつごろだったのだろう。『アメリカン・グラフティ』のサントラに入っていたとおもったけれどまったくの勘違いだった(公開当時、なぜ1962年の最大のヒット曲「シェリー(Sherry)」が入っていないのかと話題になったらしい)。60’sのコンピレーションCDをたくさん買っていた時期もあったので、その中に入っていたのではないかとおもってiTunesを検索したら取り込まれていなかった。まあ、おそらく、何かの映画の挿入歌として聞いたのだとおもう。

時を同じくして、いや、それより前かもしれない。1979年に『ディア・ハンター』が公開されて、そこで使われていた「君の瞳に恋してる(Can’t Take My Eyes Off You )」に、ロバート・デ・ニーロ、クリストファー・ウォーケン、ジョン・サベージ、ジョン・カザールらと一緒に合唱したくなるほど心ときめいた。

Can’t Take My Eyes Off You from Fabio V on Vimeo.

そして、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』に使われていた10ccの「I’m not in love」を聞いた時に、走馬灯のようにおもい出したアメリカのFM曲をエアチェックしただけのカセットテープをなんとか発掘して来て確認したところ、やっぱり「瞳の面影(My Eyes Adored You)」が入っている! この曲は何度も何度も聞いたんだよなあ。(でも、10ccの「I’m not in love」が入っていない! 同じようなアメリカのFM曲をエアチェックしただけのカセットテープをさらにダビングさせてもらったテープも一緒に出て来たので、おそらくそこに入っているに違いない。もうすでにカセットテープを再生できる環境が何もないので確認できないけど)

エアチェックテープ
(ただ、タイトルが「MY EYES GEORGEA」になっている。「My Eyes Adored You」とそのオリジナル・タイトル「Blue Eyes in Georgia」が合体してしまったのか?)

私のようにそんなに音楽を聞いてこなかった人間でも、このようにフォー・シーズンズやフランキー・ヴァリの曲は自分の中に記憶としてこびりついていて、その曲が流れてくるだけで、ぞわーっと鳥肌が立ってくる。伝説的なミュージシャンを題材にした映画は、ヒット曲が生まれる過程の彼らの生きざまと、その曲と出会った自分の過去とがシンクロして、イントロが流れるだけでゾクゾクとしてしまって、映画の出来なんてどうでもよくなる。あ、でも、クリント・イーストウッドはすごい。なんでこの人は歳を取っても老成しないで、こんな職人気質の映画を撮れるんだろう! 素晴らしい。

→クリント・イーストウッド→ジョン・ロイド・ヤング→アメリカ/2014→109シネマズ木場→★★★★