監督:アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ
出演:クリス・エヴァンス、ロバート・ダウニー・Jr、スカーレット・ヨハンソン、セバスチャン・スタン、アンソニー・マッキー、エミリー・ヴァンキャンプ、ドン・チードル、ジェレミー・レナー、チャドウィック・ボーズマン、エリザベス・オルセン、ポール・ラッド、ポール・ベタニー、トム・ホランド、マリサ・トメイ、マーティン・フリーマン、ウィリアム・ハート
原題:Captain America: Civil War
制作:アメリカ/2016
URL:http://marvel.disney.co.jp/movie/civilwar.html
場所:109シネマズ木場
マーベル・シネマティック・ユニバースの映画にはそれぞれの色があって、『アイアンマン』はトニー・スタークのスケベでお調子者のキャラが映画の色調を決定づけているし、『キャプテン・アメリカ』はスティーブ・ロジャースの衣装にアメリカ国旗のデザインがあしらわれていることからもわかるように「アメリカ人であること」を正面に据えて真面目な映画になっているし、『マイティ・ソー』は北欧神話をベースにしたファンタジーの要素をふんだんに取り入れている。
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』は、マーベル・シネマティック・ユニバースのスーパーヒーローたちの活動が国際連合の管理下に置かれること(ソコヴィア協定)に同意するべきか否かでスティーブ・ロジャース派とトニー・スターク派に分かれてしまって、その二派の衝突がストーリーの中心となっている。
●ソコヴィア協定否定派
スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカ
ジェームズ・”バッキー”・バーンズ/ウィンター・ソルジャー
サム・ウィルソン/ファルコン
クリント・バートン/ホークアイ
ワンダ・マキシモフ/スカーレット・ウィッチ
スコット・ラング/アントマン
●ソコヴィア協定肯定派
トニー・スターク/アイアンマン
ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウ
ジェームズ・”ローディ”・ローズ/ウォーマシン
ティ・チャラ/ブラックパンサー
ヴィジョン
ピーター・パーカー/スパイダーマン
ここに「マイティ・ソー」が入る余地の無いのはわかる(「ハルク」はもう完全に置いてきぼり!)けど、スティーブ・ロジャース派に対抗するもう一派のリーダーとしてトニー・スタークを置くのもなかなか無理があった。つまり「キャプテン・アメリカ」の真面目な色調にトニー・スタークが染まってしまうと、明るくていい加減なトニー・スタークの個性がまっるきり死んでしまって、その魅力を失った「アイアンマン」が「キャプテン・アメリカ」と真面目に闘ったとして面白くもなんともない。まあ、「キャプテン・アメリカ」が好きな人にはそれで良いんだろうけど、「アイアンマン」が好きな人にとっては、トニー・スタークの明るいキャラでその場をもっとうまく収めるべきだ! になってしまう。
もともと勧善懲悪の映画では無いので二人の対決のどこにポイントを置いて見れば良いのかを見失っている上に、キャラクターの魅力も失われているとしたらもう完全に身の置き所が無くなってしまった。アメコミの「キャプテン・アメリカ」がアメリカの政治的なものを反映しているのだとしたら、まさしくこのどっちつかずの状況こそがいまのアメリカを象徴しているのかもしれないけど、映画としてはこれではまったく収まりが悪い。最後の「つづく」感も欲求不満が募るだけだった。
→アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ→クリス・エヴァンス→アメリカ/2016→109シネマズ木場→★★★