監督:上田慎一郎
出演:濱津隆之、真魚、しゅはまはるみ、長屋和彰、細井学、市原洋、山﨑俊太郎、大沢真一郎、竹原芳子、吉田美紀、合田純奈、浅森咲希奈、秋山ゆずき
制作:ENBUゼミナール/2017
URL:http://kametome.net/index.html
場所:池袋シネマ・ロサ
Twitterで上田慎一郎監督の『カメラを止めるな!』がめちゃくちゃ面白い! との絶賛Tweetがあちらこちらから飛んできた。どんな映画なのかまったく知らなかったのでさっそくネットで調べてみると、監督も俳優も誰一人知らない自主映画的なノリの映画のようだった。
自主映画を観た時に、低予算から来る陳腐さを許容できるのか、白けてしまうのか、その自分なりの合否のラインはよくわっていない。ストーリーにもよるだろうし、観た時の体調にもよるだろうし、見知らぬ俳優にオーラを感じるか感じないかだけかもしれない。ただ、ひとつだけはっきりと云えることは、映画のプロットにアイデアがあると許容できる可能性が高いと云うことだ。
『カメラを止めるな!』はCS(だったかな?)のゾンビ映画ばかりを流すチャンネルの中で、ゾンビのドラマをワンカットで生放送をすると云う三谷幸喜のようなノリの制作現場を描いた映画で、冒頭の37分にいきなりその生放送のドラマを見せて、後半に撮影の舞台裏のドタバタを見せる二部構成になっていた。このような構成であることをまったく知らなかったので、いきなり手持ちカメラひとつの長回しで「ゾンビもの」を見せられたときには、「ゾンビもの」だったのか! とのちょっとした失望感(ゾンビ映画は好きなんだけど、なんでだろう? ちょっとした期待ハズレが)と、それにしてはゾンビとは関係のない護身術の話題をなんでこんなにダラダラと、とか、よくもまあ「あら、こんなところに斧が!」なんて陳腐なセリフを云わせるな、とか、これが話題の映画なのか? との疑問が湧いてしまった。いやー、ところが、そんな低予算で作られているだろうドラマの陳腐に見えるところがそのまま撮影の舞台裏のドタバタに直結する部分で、ああ、そう云うことだったのか! との疑問解決が起こす「気持ちのズレ」が大笑いを生み出し、その可笑しさが爽快感につながってしまった。映画はやっぱりプロットのアイデアが大切だ!
低予算で作られた映画の中で放送される低予算のドラマと云う、本流ではなくて端っこの方で映画やドラマを制作する人たちへの応援歌でもあるこのような映画が日本でもまだ出てくる素地があるのならば、シネコンで上映される「コミック原作もの」や「恋愛もの」だって、どうぞどんどんやってください、と云えるなあ。
→上田慎一郎→濱津隆之→ENBUゼミナール/2017→池袋シネマ・ロサ→★★★★