監督:リカルド・フレーダー
出演:バーバラ・スティール、ロバート・フレミング、シルヴァーノ・トランキッリ、マリア・テレサ・ヴィアネッロ、ハリエット・メーディン
原題:The Horrible Dr. Hichcock
制作:イタリア/1964
URL:
場所:アテネ・フランセ文化センター

前回に続いてアテネ・フランセ文化センターで行われた「中原昌也への白紙委任状」へ。

「中原昌也への白紙委任状」で中原昌也が選ぶ映画はひどい映画ばかりだ。ストーリーに流れがなくて、いや、流れがないばかりか前後のつながりがわからん! と云う映画ばかりをピックアップして紹介してくれる。それでも、じゃあめちゃくちゃつまらないのかと云うと、そう云うわけでもない。そのひどさが楽しめるのだ。ひどい映画が楽しめる場合と、まったく楽しめない場合の境界線ってなんだろう? そこがよくわからない。中原昌也が云っていたように、脚本、監督はひどくても周りのスタッフに優秀な人がいる場合には全体的な格調がアップして、その「ひどさ」を包み込んでくれるのかもしれない。一見するとしっかりとした映画に見える場合には、その中の「ひどさ」とのズレで可笑しさを生んで楽しめるのかもしれない。

映画上映後の恐怖映画研究家、山崎圭司とのトークによると、リカルド・フレーダーは撮影をさっさと切り上げて遊びに行きたいような監督だったらしい。やっつけ仕事なのに、それなりの映画が出来てしまうと云うそのギャップが、結果として楽しめる映画を生み出してるのかなあ。

→リカルド・フレーダー→バーバラ・スティール→イタリア/1964→アテネ・フランセ文化センター→★★☆

監督:ブラッド・バード
声:黒木瞳、三浦友和、綾瀬はるか、山崎智史、斎藤志郎、木下浩之、加藤有生子、後藤哲夫、菅生隆之、鈴村健一、小島瑠璃子
原題:Incredibles 2
制作:アメリカ/2018
URL:https://www.disney.co.jp/movie/incredible-family.html
場所:109シネマ菖蒲

昨今のジェンダー平等の機運が高まっている社会現象を受けて、ピクサーのアニメーションにもその余波が! スーパーヒーローこそが男性優位社会の象徴なので、ワンダーウーマンとか、『スーサイド・スクワッド』のハーレイ・クインとか、そして『インクレディブル・ファミリー』のイラスティガールなどの、女性のスーパーヒーロー(ハーレイ・クインはスーパーヒーローではないか)が大活躍する映画が出てくるのは大賛成。でも、今回の『インクレディブル・ファミリー』は悪役までもジェンダー平等にしてしまった。いやいや、そこはいけ好かない男のままで良いんじゃないの? ハリウッドにまだまだいそうなセクハラ、パワハラおやじを象徴するような悪役でも良かったような。

ブラッド・バードの演出は前作同様にテンポが良くて、観ていてすこぶる気持ちが良かった。「インクレディブル」シリーズの生命線は飛んだり跳ねたりの上下のスピード感だなあ。じゃあ次は、ヴァイオレットを主人公で。

→ブラッド・バード→(声)黒木瞳→アメリカ/2018→109シネマ菖蒲→★★★☆

監督:細田守
声:上白石萌歌、黒木華、星野源、麻生久美子、吉原光夫、宮崎美子、役所広司、福山雅治
制作:スタジオ地図/2018
URL:http://mirai-no-mirai.jp
場所:109シネマズ木場

細田守のアニメーションを今まで観てきて、まだ『サマーウォーズ』のころはそこで描かれる先祖や家族に対するリスペクトを物語の一部として微笑ましく見守っていたけれど、それを何度も繰り返されるとなると、物語としての完成度が高くなければいくらなんでも、またか、になってしまう。今回の『未来のミライ』でもそれが繰り返されていて、少なくともタイトルが『未来のミライ』なんだから、主人公である4歳の男の子「くんちゃん」が未来から突然現れた女子高生の妹「ミライ」によって影響を受けて人間的な成長を見せるエピソードが中心なんだとおもったら、また単純に家族の系譜をさかのぼってノスタルジックな哀愁ばかりが強調されている映画にしか見えなかったのは辛かった。成長した未来の「くんちゃん」がよくあるフツーの高校生となって登場することの意味もわからなかった。「過去」よりも、もっと「未来」が重要なポイントとなっていたら細田守のアニメーションを再度評価し直していたかもしれないのに。

→細田守→(声)上白石萌歌→スタジオ地図/2018→109シネマズ木場→★★☆