監督:マックス・バーバコウ
出演:アンディ・サムバーグ、クリスティン・ミリオティ、J・K・シモンズ、カミラ・メンデス、タイラー・ホークリン、メレディス・ハグナー、デイル・ディッキー、クリス・パン、ピーター・ギャラガー
原題:Palm Springs
制作:アメリカ/2020
URL:https://palm-springs-movie.com
場所:MOVIXさいたま

朝起きるとまったく同じ日が繰り返されて、同じ出来事が起き続けるタイムループの映画はハロルド・ライミス監督の『恋はデジャ・ブ』がとても有名で、マックス・バーバコウ監督の『パーム・スプリングス』はそれとまったく同じシチュエーションの映画だった。でも、同じ日の中で起きる出来事の微妙な差異が生じることでストーリーを形作っていく『恋はデジャ・ブ』に比べれると、『パーム・スプリングス』では同じ日の中で起きる出来事に大幅な自由度を持たせていて、まるで違う日の繰り返しに見えてしまうほどのストーリー展開だった。

同じ日の出来事が何度も繰り返される中で、ある特定の人物の記憶だけは繰り返されずに蓄積されることに元々は違和感があるのだけれど、『パーム・スプリングス』ほどの、なんでもあり、の状態にされてしまうと、その違和感は大幅に増してしまった。例えばタイムスリップの映画が必ず設定しているタイムパラドックスを回避するルールのようなものがこのタイムループの映画にも無ければ、無理な設定の映画を観ていく上での拠り所を失ってしまうような気がする。まあ、そこまでごちゃごちゃ云わずに、楽しむ映画なんだろうけれど、、、

→マックス・バーバコウ→アンディ・サムバーグ→アメリカ/2020→MOVIXさいたま→★★★

監督:吉田大八
出演:大泉洋、松岡茉優、宮沢氷魚、池田エライザ、斎藤工、中村倫也、坪倉由幸、和田聰宏、石橋けい、森優作、後藤剛範、中野英樹、赤間麻里子、山本學、佐野史郎、リリー・フランキー、塚本晋也、國村隼、木村佳乃、小林聡美、佐藤浩市
制作:「騙し絵の牙」製作委員会/2021
URL:https://movies.shochiku.co.jp/damashienokiba/
場所:109シネマズ菖蒲

塩田武士の小説「騙し絵の牙」を『桐島、部活やめるってよ』『紙の月』の吉田大八が映画化。

出版業界に少なからず足を突っ込んできた人間から見れば、出版にまつわるいろいろな要素をぶち込んで来て、それをごった煮にしたようなこの映画は面白くもあり、あまりにもデフォルメが過たり、言葉足らずなところもあって、ちょっとリアリティに欠けるんじゃない? と文句も云いたくなるところもあったりして、まあ、つまり、113分のこの映画を飽きることなく観ることはできた。

惜しいのは、やや強引なストーリー展開を持ち込んできてるところで(新人作家が記者会見で爆弾発言する部分や、街の小さな本屋に行列ができるところなど)、どんでん返しを売りにしている長編小説を2時間枠の映画に収めるにはやっぱり限界があった。

それにしても、この映画に出資しているKADOKAWAは、自身のやっている「ところざわサクラタウン」のような新しい出版の生産・物流拠点を作る計画を揶揄されても問題ないとは太っ腹な会社だ。

→吉田大八→大泉洋→「騙し絵の牙」製作委員会/2021→109シネマズ菖蒲→★★★

監督:ジェリー・ロスウェル
出演:
原題:The Reason I Jump
制作:イギリス/2020
URL:https://movies.kadokawa.co.jp/bokutobi/
場所:M0VIXさいたま

重度の自閉症である東田直樹は、人と会話をすることはできないけれども、文字盤を使えば豊かな表現力を発揮することができる。彼が書いた「自閉症の僕が跳びはねる理由」は、自閉症の人のこころの中があきらかになったはじめての本として全世界に衝撃をあたえたらしい。らしい、と云うのは、そんな素晴らしい本があることをまったく知らなかった。絶対に読んでみたいとおもう。

東田直樹の「自閉症の僕が跳びはねる理由」を英語訳をしたデイヴィッド・ミッチェルは、自分も自閉症の息子を育てていて、息子の不可解な行動の理由を東田直樹の著書の中に見つけて衝撃を受けた人のひとりだった。その英語訳を受けて、ドキュメンタリー化したのがジェリー・ロスウェル監督の『僕が跳びはねる理由』だった。

東田直樹のような自閉症の人が観ている世界、感じている世界をうまく映像化できたのだろうか、と云う視点でこの映画を観てしまうと、それは難しい作業だった、と云わざるを得なかった。そのような視点から語ろうとする映像に少し無理があったような、、、まずは、本を読まないとなあ。それからこのドキュメンタリーを見れば、また違った印象を持つのかもしれないのだけれど。

→ジェリー・ロスウェル→→イギリス/2020→M0VIXさいたま→★★★