監督:ジョーダン・ピール
出演:ダニエル・カルーヤ、キキ・パーマー、スティーヴン・ユァン、ブランドン・ペレア、マイケル・ウィンコット、レン・シュミット、キース・デイヴィッド
原題:Nope
制作:アメリカ/2022
URL:https://nope-movie.jp
場所:109シネマズ菖蒲

ジョーダン・ピール監督の2017年の映画『ゲット・アウト』をAmazonのPrime Videoで見たとき、今までにない新しいホラー映画の到来を感じた。ちょうど同時期にやはりAmazonのPrime Videoで見たアリ・アスター監督の『ヘレディタリー/継承』とともに、今はあまり第何世代とか云わないのだけれど、二人の映画監督が作る新しい世代をとても強烈に感じ取ることができた。

ジョーダン・ピール監督は2019年に『アス』を撮り、アリ・アスター監督も2019年に『ミッドサマー』を撮って、ますます強烈な印象を残して、次は何を撮るんだろうと期待感がマックスに膨らんで行った。

そこで今年、ジョーダン・ピール監督の最新作『NOPE/ノープ』がやって来た。公開後すぐにはあまり駆けつけない自分にしては珍しく、公開5日目にして観に行ってしまった。

期待感と云うものは、その期待のハードルを異常に押し上げてしまう作用を同時に引き起こすもので、それなりの出来の映画を観たとしてもがっかりとしてしまう。『NOPE/ノープ』はまさにそのたぐいの映画だった。UMA(未確認動物)とか、UAP(未確認空中現象)の映画って、今までにいろいろとやり尽くしていて、斬新さを求めるとなるとどんなアイデアが必要なんだろう? ジョーダン・ピールでも流石にそれは出来ていなかった。

どちらかと云うと、UAP(未確認空中現象)が起こる前段階のエピソードとして紹介される人を襲うチンパンジーの逸話が異常に怖かった。そっちをメインに展開したほうがジョーダン・ピールらしかったんじゃないのかなあ。

→ジョーダン・ピール→ダニエル・カルーヤ→アメリカ/2022→109シネマズ菖蒲→★★★

監督:重江良樹
出演:川崎市子ども夢パークに集う人たち、フリースペースえんの子どもたち、認定NPO法人フリースペースたまりばの人たち、風基建設株式会社の人たち
制作:ガーラフィルム、ノンデライコ/2022
URL:http://yumepa-no-jikan.com/
場所:ポレポレ東中野

川崎市高津区にある子どものための遊び場「川崎市子ども夢パーク」に集まる子どもたちを描いたドキュメンタリー映画『ゆめパのじかん』を観て、こんな何でもありの自由な空間が公共の施設としてあるのか! と云う驚きとともに、こんなに自由にさせてしまったらそこに目くじらを立てる人たちもいるんじゃないの? と云う両方のおもいが巡ってしまった。

ひとむかし前のブラック校則に代表されるように神経質なルールに縛られがちな日本社会だからこそ、その窮屈さに馴染めない子どもたちも数多く出てきてしまうのは当たり前もことだろうとおもう。だから、そう云った子どもたちを救うためにはいかに伸び伸びとさせるのかがポイントなって来るは間違いない。

「川崎市子ども夢パーク」の自由度は、日本社会の基準からすると、これはちょっとヤバいんじゃない? と云うレベルだけれど、だからこそ救われる子どもたちもいて「サワ」を筆頭にその成功例の何人かがこの映画で描かれている。

じゃあ反対に、その自由度の代償がこの映画でしっかりと描かれているかと云うと、そこもとても緩かった。まあ、この映画の全体的なスタイルとして、それで統一しているからなのだろうけれど。コロナ禍でのマスクなしのことや、ボロボロの自転車で遊んでいる子どもたちのことなど、お硬い人たちからの反発必至な部分を「川崎市子ども夢パーク」がどのように対処しているのかがとても気になった、

個人的には、細かいことに文句を云ってくるやつらは背中から蹴飛ばしてやれば良いんだ、くらいの気持ちでいるんだけれど、市が運営している施設ではそうもいかないだろうから、そこをどう手当しているのか? の部分も欲しかったような気もする。そして、学校にも馴染めず、この「川崎市子ども夢パーク」にも馴染めず、と云う子どもも一定数いるだろうから、そんな子どものことも描いて欲しかった。

→重江良樹→サワ→ガーラフィルム、ノンデライコ/2022→ポレポレ東中野→★★★☆