監督:ネメシュ・ラースロー
出演:ルーリグ・ゲーザ、モルナール・レべンテ、ユルス・レチン、トッド・シャルモン、ジョーテール・シャーンドル、
原題:Saul fia
制作:ハンガリー/2015
URL:http://www.finefilms.co.jp/saul/
場所:新宿シネマカリテ
第2次世界大戦中のドイツの強制収容所では、ガス室に送られたユダヤ人たちの死体を処理する仕事も選別されたユダヤ人たちが行っていた。彼らは「ゾンダーコマンド」と呼ばれ、その「ゾンダーコマンド」のサウルが主人公のこの映画『サウルの息子』は、ほとんどのシーンでカメラがサウルのそばにピッタリと寄り添って、それも被写界深度が極端に浅いので、サウルから離れたものはボケいて何も見えない。だからまるでサウルの行動を追体験するような感覚に陥って、強制収容所で行われたナチスによる所業をリアルに経験するような映画になっていた。
ある日サウルはガス室から息のまだある子供を見つける。すぐに医師によって絶命させられたその子供をサウルは自分の息子だと云い、収容所の中からユダヤのラビを見つけて丁重に葬りたいとして死体を盗み出す。
映画のタイトルはここから来ている。でも、どう考えてみても、その子供は彼の息子には見えない。あまりにもその子供に対するサウルの感情がフラットすぎたからだ。周りの仲間からも、お前に息子はいないだろう、と云われる。おそらく、この子供はユダヤの子供の象徴にすぎなかったんだろうとおもう。
と云うようなことを考えながら映画を見終わって、帰ってからネットで検索したら町山智浩もそのようなことを云っていた。
『サウルの息子』の息子とラストについて – 映画評論家町山智浩アメリカ日記
映画のラストに「希望」のようなシーンを見せてはいるけど、このリアル強制収容所を追体験した身としてはすっかり気分が悪くなってしまった。
→ネメシュ・ラースロー→ルーリグ・ゲーザ→ハンガリー/2015→新宿シネマカリテ→★★★☆