監督:川島雄三
出演:三橋達也、月丘夢路、大坂志郎、水原真知子、坂本武、芦川いづみ、稲川忠完、高橋貞二、毛利菊枝、奈良真養、滝川美津枝、北原三枝、多々良純、丹下キヨ子、小藤田正一、竹田法一、桜むつ子、草香田鶴子、槙芙佐子、高橋とよ
制作:松竹/1953
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場所:フィルムセンター
川島雄三の映画をすべてコンプリートすべく、ちょこちょこと特集上映やCS放送で拾って、やっとこの『東京マダムと大阪夫人』で51本中25本目。まだまだ志し半ば。まあ、レンタルDVDなどで一気に見ようとおもえば出来るんだけど、気が付いたら拾って行くことを主義としているので、いつコンプリートできるのやら。
川島雄三のコメディには非道いものもあって、まったく笑えないものもあるけれど、『東京マダムと大阪夫人』は大当たりだった。同じ会社の社員住宅地に住む月丘夢路の「東京マダム」と水原真知子の「大阪夫人」の意地の張り合いを軸に、それぞれの夫(三橋達也と大坂志郎)のニューヨーク支店栄転競争、「大阪夫人」の弟の高橋貞二をめぐった「東京マダム」の妹の芦川いづみと会社専務の娘の北原三枝との「恋のさやあて」問題などがテンポよく渾然一体となってストーリーが形成されていて、そこに人事部長の妻の丹下キヨ子をリーダー格とした同じ社員住宅地内の主婦連中がガアガアくちばしを突っ込む(この住宅地を俗に「あひるが丘」と云って、じっさいに住宅地内の池であひるも飼われていて、そのあひるの声が主婦連中のおしゃべりに被るのが最高!)タイミングも抜群に、最後はめでたく「東京マダム」と「大阪夫人」の手打ち、潔く身を引いた北原三枝によって高橋貞二と芦川いづみの恋愛成就と相成って、人事部長は九州に飛ばされ、丹下キヨ子の代わりに高橋豊子(とよ)が登場して、あいかわずの主婦連中のガアガアで幕、と最初から最後まで大笑いだった。このテンポの良い笑いの「間」は今の笑いにも通ずる普遍的な笑いだなあ。
芦川いづみはこの『東京マダムと大阪夫人』がデビュー作だそうだ。若い、可愛い!
→川島雄三→三橋達也→松竹/1953→フィルムセンター→★★★★