監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:ロバート・パティンソン、ジェイ・バルチェル、ポール・ジアマッティ、ケヴィン・デュランド、ジュリエット・ビノシュ、サマンサ・モートン、サラ・ガドン、マチュー・アマルリック、K’Naan、エミリー・ハンプシャー、パトリシア・マッケンジー
原題:Cosmopolis
制作:フランス、カナダ、ポルトガル、イタリア/2012
URL:http://cosmopolis.jp/
場所:新宿武蔵野館
『コズモポリス』の公開とともに新宿武蔵野館でレイトショーされている『ザ・ブルード/怒りのメタファー』や『スキャナーズ』のころのクローネンバーグの映画は、最近の彼の映画とあまり変わらないテーマを扱っていながら視覚的なエグさにスタイリッシュな気持ちよさを感じて、例えそこで描かれていることの意味が充分にわからなくとも映画としてとても面白かった。でも、ここのところのクローネンバーグの映画は、追い求めているものは同じなのかもしれないけれど、その表現方法に視覚的な衝撃性を求めることなくセリフで延々と語り尽くすので、その語られていることの意味が理解できないとさっぱり面白くない。この『コズモポリス』も、昔の映画に見られたスタイリッシュな映像はリムジンの車内シーンとかに若干は残っているけど、生や死の対称や非対称を語ろうとしているんじゃないかとおもわれるところがセリフだけの表現ではとても辛かった。以前の映画のように、そこにもうちょっとエグい映像美が加われば何の文句も無かったのだけれど。
外の環境音がシャットアウトされたリムジンが交通渋滞によってノロノロと走り、そこにいろいろな人間が乗ってくるスタイルだけは面白かった。ジュリエット・ビノシュとのセックスシーンやサマンサ・モートンの理論担当の部下との会話シーンは良かった。これが延々と続けば良かったのに、最後は冴えないオヤジとの対決だからなあ。
→デヴィッド・クローネンバーグ→ロバート・パティンソン→フランス、カナダ、ポルトガル、イタリア/2012→新宿武蔵野館→★★★