怒り

監督:李相日
出演:渡辺謙、宮崎あおい、松山ケンイチ、池脇千鶴、妻夫木聡、綾野剛、森山未來、広瀬すず、佐久本宝、原日出子、高畑充希、三浦貴大、ピエール瀧
制作:「怒り」製作委員/2016
URL:http://www.ikari-movie.com
場所:109シネマズ木場

李相日監督が吉田修一の小説を『悪人』に続いて映画化。

『悪人』についてはめずらしく小説を読んでから映画を観るパターンだった。その小説は、評判のわりにはそんなに面白いと感じることもなかったのに、もしかしたら映画化は面白くなるんじゃないかと期待を込めて観に行ったら、自分にとってはやはり小説と同じく人物描写に共鳴するところもなく、どこかボヤッとしていて面白く感じることはなかった。

もしかすると吉田修一の小説が、残念ながら自分には合わないのだろうと次の作品を読むこともなかったのだけれど、映画『怒り』の予告編に興味がそそられて、SNSでの評判もそんなに悪くないのでちょっと観てみた。

映画の冒頭で、閑静な住宅街で起きる殺人事件が示されて、その犯人の顔をこちらにはっきりと見せない段階で、犯人がいったい誰なのかで興味を惹きつける映画であることがわかるわけだけど、ああ、もうそんな犯人探しの映画は飽きたなあ、とおもいつつも、犯人を想像させる三人(松山ケンイチ、妻夫木聡、森山未來)の人物模様が三者三様で面白く、2時間20分と云う長さを感じさせない映画だった。

ただ、警察が作る犯人の顔のモンタージュ写真は、もうちょっと三人の顔の中間にするべきだったんじゃないのかなあ。どう見ても一人に偏りすぎている。それに、犯人の人物的背景が他の二人に比べてちょっとおざなりで、育ってきた環境や関わってきた人物が何も示されないので、ただの精神異常者としか捉えることが出来ないのが残念だった。

→李相日→渡辺謙→「怒り」製作委員/2016→109シネマズ木場→★★★☆