監督:ケン・ローチ
出演:ポール・ブラニンガン、ジョン・ヘンショウ、ガリー・メイトランド、ジャスミン・リギンズ、ウィリアム・ルアン、ロジャー・アラム、デヴィッド・グッドール、シボーン・ライリー、フォード・キアーナン
原題:The Angels’ Share
制作:イギリス/2012
URL:http://tenshi-wakemae.jp/
場所:銀座テアトルシネマ
ケン・ローチの前作『ルート・アイリッシュ』があまりにも救いの無い映画だったので、その流れから『SWEET SIXTEEN』的な、仕事のない若い奴がもがき苦しむ映画を冒頭から予感させたけど、ストーリーは少しづづそこからズレて行って、おバカな相棒(スコットランド人なのにエディンバラ城を知らない!)がクッションとなったりして、最後は“天使の分け前”を頂戴して人生をリスタートさせる、ちょっぴりハートウォーミングな映画に仕上がっていた。
スコットランドやイングランドの社会は、おそらく日本よりも階級がハッキリと別れていて、生まれながらにして運命が決まってしまっている場合が多いのかもしれない。もしその下層から抜け出そうとするならば、並々ならぬ努力と回りからの絶大なるサポートと、そしてちょっぴり“天使の分け前”が無ければ到底無理なんだろうとおもう。この映画はそこの脱出劇をクライムサスペンスも加味して、テンポよく描いていて小気味よかった。
おバカな相棒が高級ブランデーが入っているビンを間違って割ってしまうシーンは、おもわず「わっ!」と声を上げてしまった。映画館で叫んでしまうのなんて『地獄の黙示録』で突然トラが出て来て驚いた時以来じゃないのかなあ。それだけ感情移入できた映画だった。
→ケン・ローチ→ポール・ブラニンガン→イギリス/2012→銀座テアトルシネマ→★★★★