監督:グザヴィエ・ドラン
出演:ギャスパー・ウリエル、レア・セドゥー、マリオン・コティヤール、バンサン・カッセル、ナタリー・バイ
原題:Juste la fin du monde
制作:カナダ、フランス/2016
URL:http://gaga.ne.jp/sekainoowari-xdolan/
場所:新宿武蔵野館

グザヴィエ・ドランの前作『Mommy/マミー』は、そのスタイリッシュな映像が鼻に付いて、それが「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」の人物を描くにふさわしいとはおもえずにもうひとつ映画にのめり込むことができなかった。

『たかが世界の終わり』もそのスタイリッシュな映像は相変わらずなので、また今回も同じような感情が芽生えるのかとおもいきや、死期が近いことを伝えるために実家へ帰郷した若手劇作家(ギャスパー・ウリエル)と云う設定にはとても感傷的かつノスタルジックな面が大きく作用するので、キレイな映像がそれを引き立てはすれど妨げると云うことはなかった。

ただ、ギャスパー・ウリエルの帰郷に関して言い争う兄と妹の感情の爆発が尋常ではないので、特にバンサン・カッセルが演じた兄に対しては嫌悪しか感じることができなかった。

この不快な部分をどう捉えるべきなんだろう?

この映画のような「帰還もの」(と勝手に名付ける)の映画によくあるパターンは、最初は歓迎するも次第に本音が出てきて言い争うが最後は雨降って地固まる、のようなものが多いのだけど、いきなり感情のぶつかり合いが起きて、それが繰り返されて、本題を切り出せずに帰らざるを得なくなってしまう、と云う、そんなワンパターンを覆す映画として不快感はあれど面白くもあった。映画って、不快=つまらない、にはならない場合もあることが面白いところだ。

→グザヴィエ・ドラン→ギャスパー・ウリエル→カナダ、フランス/2016→新宿武蔵野館→★★★☆