監督:デミアン・チャゼル
出演:ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、ジョン・レジェンド、ローズマリー・デウィット、フィン・ウィットロック、ジェシカ・ローゼンバーグ、ソノヤ・ミズノ、J・K・シモンズ
原題:La La Land
制作:アメリカ/2016
URL:http://gaga.ne.jp/lalaland/
場所:ユナイテッド・シネマ浦和

今年のアカデミー賞で一度は作品賞と発表されながら、担当者があやまって主演女優賞の名前が入っている封筒をプレゼンター(ウォーレン・ベイティ&フェイ・ダナウェイ!)へ渡してしまったことが判明して、受賞が取り消されてしまった『ラ・ラ・ランド』。それでも聞こえてくる評価は絶賛の声ばかりで、メインとなるナンバーも軽快で、ポップで、耳障りも良くて、期待感のボルテージが高まったまま映画を観に行くことになってしまった。

今までに何度も書いてきたように、期待感が高ければ高いほど作品の完璧さが要求されてしまうわけで、それを上回るためのハードルはめちゃくちゃ高くなってしまう。それを超えた作品として最近では『この世界の片隅に』があるにしてもそれは例外中の例外で、周りが騒げば騒ぐほど、うーむ、となってしまう作品が多い。

今回もその、うーむ、になってしまった。

映画のストーリーも、色彩も、カメラワークも、どうしも『巴里のアメリカ人』に見えてしまうのは、デミアン・チャゼルが昔のMGMミュージカルにオマージュを捧げているからなんだろうけど、となると、まずはその『巴里のアメリカ人』と比較してしまう。

『巴里のアメリカ人』の素晴らしさはジーン・ケリーのキャラクターに負うところが多くて(これは彼のすべての映画に云えることなんだけど)、そして相手役のレスリー・キャロンの可愛らしいキャラクターに負うところが多かった。その二人を『ラ・ラ・ランド』のライアン・ゴズリングとエマ・ストーンと比べてしまうと、まあ、何と云うか、月とスッポンと云うか。快活で、愛嬌があって、子供たちにも好かれるジーン・ケリーに比べて、表情が乏しいが故にすべてに於て世を拗ねているように見えるライアン・ゴズリング。清純に見えながら、はからずも二股をかけてしまう、そのギャップが愛おしさを倍増させるレスリー・キャロンに比べた「Crack whore(コカイン使いの売春婦?)」にしか見えないエマ・ストーン。

うーん、どうしてもこの二人をキャスティングしたことが正解だったとはおもえなかった。音楽も良いし、ラスト・シーンもシドニー・ポラックの『追憶』のようなロマンチックな恋愛映画にはなっていたとはおもうけど、主役の二人に最後まで感情移入することができなかった。残念。

→デミアン・チャゼル→ライアン・ゴズリング→アメリカ/2016→ユナイテッド・シネマ浦和→★★★