監督:エドワード・ヤン
出演:張震(チャン・チェン)、楊静恰(リサ・ヤン)、張國柱(チャン・クォチュー)、金燕玲(エイレン・チン)、張翰(チャン・ハン)、美秀瓊(チェン・シャンチー)、王啓讃(ワン・チーザン)、柯宇綸(クー・ユールン)、林鴻銘(リン・ホンミン)、譚至剛(タン・チーガン)
原題:牯嶺街少年殺人事件
制作:台湾/1991
URL:http://www.bitters.co.jp/abrightersummerday/
場所:角川シネマ有楽町
ビデオの発売元だったヒーロー・コミュニケーションズが倒産して、その権利が特殊な会社に渡ってしまったことから長いこと日の目の見ることのなかったエドワード・ヤン監督の『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人 事件』が、どんないきさつで公開できるようになったのか良くわからないのだけれど、やっと映画館で観ることが可能になった。それも4Kレストア版で。
『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人 事件』と云えば、新宿TSUTAYAにある2巻もののVHSテープでしか見たことがなくて、それも多くの人が見たテープのために同期がところどころ飛んでいて、画質もやけに暗くて、ひどい状態での観賞しか見る手だてがなかった。それがいきなりの大画面、4Kレストア版での観賞で、もう、それだけで感激してしまって、4時間の長尺があっと云う間だった。
そんな感動している人間の傍らでは、グーグー寝てる人もいた。それも、わからないでもない。エドワード・ヤン監督の映画は、物事が起きたあとの結果の描写を省略する場合があるので、そこを読み解くことを怠れば簡単にストーリーから置き去りにされてしまう。それに『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人 事件』は引き(遠景)での描写が多いので、画面の暗さも相まって誰が誰だかよくわからない。中国名も、愛称と実際の名前の両方が出てきて、さらに混乱に拍車がかかる。
まあ、そのような描写の省略を自分なりに想像して埋めて行かなければならないところもエドワード・ヤン監督の映画の魅力なんだけど、丁寧な描写のドラマに浸りきった人であれば、そこを魅力とおもう人は少ないのかもしれない。いろんな手だての映画を数多く見て来ればありきたりな手法に飽きて来て、このようなエドワード・ヤンの手法こそがゾクゾクするもんなんだけどなあ。
今回、『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人 事件』を観直して気が付いたことは、小明、シャオミン(楊静恰、リサ・ヤン)の表情をクローズアップなどで捉えることが少ないので、自分から「誰でも私のことを好きになるんだわ」と云い切ってしまう小明の小悪魔姓が微妙にボンヤリしているところがリアリティさを増していてなんとも怖いところだとおもってたけど、若い医者を目の前にして、傍らにあった医者の帽子をひょこんと被って可愛らしさをアピールするところなんて、いやあ、そのものずばり小悪魔を見せつけていた。どっちにしたって、怖い、怖い。
→エドワード・ヤン→張震(チャン・チェン)→台湾/1991→角川シネマ有楽町→★★★★