監督:ルパート・サンダース
出演:スカーレット・ヨハンソン(田中敦子)、ピルー・アスベック(大塚明夫)、ビートたけし、ジュリエット・ビノシュ(山像かおり)、マイケル・ピット(小山力也)、チン・ハン(山寺宏一)、ダヌーシャ・サマル(山賀晴代)、ラザルス・ラトゥーエル(仲野裕)、泉原豊、タワンダ・マニーモ、桃井かおり(大西多摩恵)
原題:Ghost in the Shell
制作:アメリカ/2017
URL:http://ghostshell.jp
場所:109シネマズ木場

押井守監督の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995年)は、アメリカの『ビルボード』誌のホームビデオ部門で売上第1位を記録したためにハリウッドの映画人にも多くの影響を与えた作品で、いったい誰の手で実写化されるのか早くから期待されていた作品でもあった。で、それが20年目にしてやっと実現された。

どんな場合でも「元」がある場合には、その「元」のイメージを損なわずに、それでいてあわよくば「元」を凌駕させようと狙う作業は大変なことだ。でも、その「元」にある重要なエッセンスさえ継承されていれば、まあ、充分に観賞に堪えうる作品になるとおもうのに、いつもそれがなぜかなおざりになってしまうのはなぜなんだろう。

押井守監督の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』に出てくる名セリフとして以下の二つがある。

「そう囁くのよ、……私のゴーストが 」
「さて、どこへ行こうかしら、ネットは広大だわ」

この二つのセリフが意味するところのエッセンスがルパート・サンダース版にはまったく継承されていなかった。もちろん義体化や疑似記憶も重要なファクターだけれど、まずそれよりも膨大なサイバースペース情報網での攻性防壁を介してのハック合戦にこそに興奮を覚える部分なんだけどなあ。それは神山健治版「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」にはちゃんと継承されていた部分でもあったのに、なぜそこがないがしろにされたのかまったく理解できなかった。もしルパート・サンダースの首の後ろにジャックがあったのなら、そこに誰か、押井守でも神山健治でも良いんだけど、直接接続して伝えられたのに。

→ルパート・サンダース→スカーレット・ヨハンソン(田中敦子)→アメリカ/2017→109シネマズ木場→★★☆