監督:ケネス・ロナーガン
出演:ケイシー・アフレック、ミシェル・ウィリアムズ、カイル・チャンドラー、ルーカス・ヘッジズ、ベン・オブライエン、グレッチェン・モル、カーラ・ヘイワード、アンナ・バリシニコフ、マシュー・ブロデリック
原題:Manchester by the Sea
制作:アメリカ/2016
URL:http://www.manchesterbythesea.jp
場所:新宿武蔵野館
今年のアカデミー主演男優賞は『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の演技でケイシー・アフレックが受賞した。その『マンチェスター・バイ・ザ・シー』は、アカデミー賞授賞式の時に流れた断片的なクリップ映像から判断して、アメリカ北東部の寂れた片田舎に住む孤独な男のものがたり、と云う暗いイメージだった。ああ、また、主演男優賞を獲るような映画はシリアスな映画なんだなあ、と覚悟を決めて観に行ったら、まあ確かに真面目な映画ではあったのだけれど、ところどころのケイシー・アフレックの会話に可笑しさがあって、その天然ボケにも見えるユーモアが映画の全体的な暗さを適当に和らげていた。映画の悲壮的な部分と、会話のシーンでのクスクス笑える部分のバランスがとても良かった。
それに、取り返しようのない失敗から自分の殻に閉じこもってしまったダメなケイシー・アフレックの叔父と、女にだらしのないルーカス・ヘッジズ の甥のコンビも、父の亡くなった甥の面倒を後見人として叔父が見ると云うシビアな問題で衝突ばかりしているのに、いがみ合っている中にも、うすーく相手に対する愛情が見え隠れしていて、そのあんばいがこれもまた絶妙に良かった。その微妙な差異を的確に演技で表現できているケイシー・アフレックは確かに主演男優賞にふさわしかった。
→ケネス・ロナーガン→ケイシー・アフレック→アメリカ/2016→新宿武蔵野館→★★★☆