監督:マイク・ミルズ
出演:アネット・ベニング、グレタ・ガーウィグ、エル・ファニング、ルーカス・ジェイド・ズマン、ビリー・クラダップ、アリア・ショウカット、ダレル・ブリット=ギブソン、テア・ギル、ローラ・ウィギンス、ナタリー・ラヴ、ワリード・ズエイター、アリソン・エリオット
原題:20th Century Women
制作:アメリカ/2016
URL:http://www.20cw.net/
場所:MOVIXさいたま
マイク・ミルズ監督の前作『人生はビギナーズ』は、ガンの宣告を受けた年老いた父から、実はゲイ、と告白される息子の顛末を描いていて、その「普通ではない」環境から生まれる「普通」に対する葛藤がペーソス溢れててとても面白かった。
今回の『20センチュリー・ウーマン』もこれまた不思議な雰囲気を持ってる映画だった。基本は、思春期の息子の教育に悩むシングルマザーのストーリー、なんだけど、母親も息子もべったりとした親子関係の中に存在するのではなくて、それぞれの独立した「個」を尊重している関係であるところがとてもクールでかっこよかった。その二人に関わる人間たちもどこかヒッピーを引きずっているような人物ばかりで、いまから考えると1979年は、80年代以降のインターネットや携帯電話などによって引き起こされる「個」と「個」との関係が変質する以前の、牧歌的な「リアル」が人間関係の中に残っていた最後の時代だったんじゃないのかなあ、とおもったりもした。その象徴が、この映画の中に出てくるカーター大統領の緊急テレビ会見だった。カーター大統領は「国民はアメリカの将来を悲観視している」という調査を真に受けて、なんとも、お人好しな会見を大まじめに行ってしまったのだ。もう、こんな大統領は、あり得ない。
1979年は、自分で云えば、江夏の21球、3年B組金八先生、世界名作劇場「赤毛のアン」、そして世界最強タッグ決定リーグ戦のザ・ファンクスだった。つまり、当時のザ・ファンクスのようなプロレスが代表されるように、あんな純粋さは、もう、あり得ない。
→マイク・ミルズ→アネット・ベニング→アメリカ/2016→MOVIXさいたま→★★★★