監督:黒沢清
出演:長澤まさみ、松田龍平、高杉真宙、恒松祐里、前田敦子、満島真之介、児島一哉、光石研、東出昌大、小泉今日子、笹野高史、長谷川博己
制作:「散歩する侵略者」製作委員会/2017
URL:http://sanpo-movie.jp
場所:109シネマズ菖蒲
劇団イキウメの舞台劇を黒沢清が映画化。
地球へ侵略に来る宇宙人の映画を見るたびに、地球へ来られるほどに科学を進化させた生物が、ただ単純に物理的に発展させただけの兵器を使って相手に攻撃を仕掛けて来るものなのかと云う疑問が絶えずつきまとっていた。もし、科学を究極なまでに発展させるほどに頭脳を進化させた生物ならば、相手を屈服させるための方法として、我々が簡単に想像しうる兵器のようなものを使うのではなくて、もっと、なにか、相手の精神を混乱させるような方法をとるんじゃないかとぼんやりと考えていた。それは今までのSF映画に出て来るエスパーとかサイコキネスに近いものかもしれないけれど、そんな荒唐無稽なものではなくて、テッド・チャンの小説「理解」(テッド・チャン「あなたの人生の物語」(ハヤカワ文庫)に所収)に描かれているような、知能が進化したことによって生物に対する認知能力も発達して、相手の精神をコントロールすることによって混乱に貶めて生体機能を低下させるような方法を取るんじゃないかと、なんとなく、考えていた。
『散歩する侵略者』に出て来る宇宙人が地球人の持っている「概念」を収集しようとするのは、地球を侵略する上での「下調べ」としては正しい行為だとおもう。まあ、それにしちゃあ、ガイドを使う行為とか、宇宙人の持っているだろう「概念」が地球人のそれと近いように見えるのが気になるけど。で、その「概念」を一生懸命に収集しているのに、なんでこの映画ではそれが地球侵略に何も生かされないんだろう。SF映画のストーリーとしては、そこを発展させなければまったく面白くない。人間の「概念」を収集した結果が兵器攻撃ってのは、なんとも、納得がいかなかった。
→黒沢清→長澤まさみ→「散歩する侵略者」製作委員会/2017→109シネマズ菖蒲→★★☆