監督:ゲイブ・クリンガー
出演:アントン・イェルチン、ルシー・ルーカス、パウロ・カラトレ、フランソワーズ・ルブラン、レオノール・ブルナー、レオノール・コルデス
原題:Porto
制作:ポルトガル、フランス、アメリカ、ポーランド/2016
URL:http://mermaidfilms.co.jp/porto/
場所:新宿武蔵野館
J・J・エイブラムス監督の『スター・トレック』シリーズやジム・ジャームッシュ監督の『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』に出演していたアントン・イェルチンが2016年6月19日に不思議な死にかたをした。自分の車と自宅の門に取り付けてあった郵便受けの間に挟まれて死亡しているのを発見されたのだった。何らかの理由で車のエンジンを切らずに自分の家の方へ向かったところ、坂を自然に下ってきた車に押し潰されてしまったと考えられているそうだ。27歳の若さだった。
映画を観る前にはなるべく事前情報を入れないようにして映画館に向かうのだけれど、ロビーで待っている間にペラペラと喋られてしまう情報に対しては耳をふさぐことができなかった。亡くなったアントン・イェルチンは結局は完成した映画を見ることができなかったのよねえ、との情報を小耳に挟んでしまったのだ。Twitterか何かでそのニュースを聞いた記憶があるけれど、その時まで彼が死んだことをすっかりと忘れていたのに。
となると、アントン・イェルチンに向ける視線がちょっと変わってしまった。ルシー・ルカースに翻弄されてしまうアントン・イェルチンの痩せこけた生気のない顔と、実際の彼の不思議な自動車事故による「死」とを結びつけてしまって、まるで映画のストーリーの延長線上に「死」があるように感じてしまったのだ。引越しの荷物運び(どうしてあんなに遠いところに車を止める!)に使いたかっただけのルシー・ルカースに彼は殺されたのだ! とまでは、いかないけれども。
昔は、どちらかと云うと適当な男が女をもてあそぶものだったけど、時代は変わりました。
→ゲイブ・クリンガー→アントン・イェルチン→ポルトガル、フランス、アメリカ、ポーランド/2016→新宿武蔵野館→★★★☆