●我妻和樹『願いと揺らぎ』(日本/2017)
東日本大震災による津波に襲われた宮城県南三陸町の波伝谷での伝統行事「お獅子さま」を復活させようとする地元の人たちの姿を追いかける。字幕やテロップの使い方など全体的にとっ散らかっている印象があるんだけど、我妻和樹監督が波伝谷の人たちの中にすっかりと溶け込んでるからこそ作れる画が恥ずかしいぐらいに清々しくて、、
●フレディ・M・ムーラー『われら山人たち ―われわれ山国の人間が山間に住むのは、われわれのせいではない―』(スイス/1974)
フレディ・M・ムーラー監督の映画を初めて観た。淡々とテーマを扱う描き方に民族映像研究所の姫田忠義さんを思い出してしまった。もちろん、そっくりとは云わないよ。
●邢菲(ケイヒ)『選挙に出たい』(中国/2016)
中国から帰化した李小牧が新宿区区議会選挙に立候補するドキュメンタリー。これはすこぶる面白かった。まあ、原一男監督の云うところの「とんがった人にカメラを向けただけ」なのかもしれないけれど。
●趙德胤(チャオ・ダーイン/ミディ・ジー)『翡翠之城』(台湾、ミャンマー/2016)
ミャンマー北部、政府軍とカチン独立軍(KIA)が内戦をする中で一攫千金を狙って翡翠を採掘する自分の兄を描く。貧しさが人をギャンブルへ向かわせる方向もあれば、一生懸命に勉強して奨学金を取って台湾へ渡る方向もあって、その二つが融合して映画を撮っている状態が面白かった。