監督:キャスリン・ビグロー
出演:ジョン・ボイエガ、ウィル・ポールター、アルジー・スミス、ジェイコブ・ラティモア、ジェイソン・ミッチェル、ハンナ・マリー、ケイトリン・ディーヴァー、ジャック・レイナー、ベン・オトゥール、ジョン・クラシンスキー、アンソニー・マッキー、ジョセフ・デヴィッド=ジョーンズ、イフラム・サイクス、レオン・トーマス3世、ネイサン・デイヴィス・Jr、ペイトン・アレックス・スミス、マルコム・デヴィッド・ケリー、ベンガ・アキナベ、クリス・チョーク、ジェレミー・ストロング、ラズ・アロンソ、オースティン・エベール、ミゲル・ピメンテル、クリストファー・デイヴィス、サミラ・ワイリー、タイラー・ジェームズ・ウィリアムズ 、グレン・フィッツジェラルド
原題:Detroit
制作:アメリカ/2017
URL:http://www.longride.jp/detroit/
場所:109シネマズ菖蒲
1967年7月23日から27日にかけて起きた「デトロイト暴動」の最中に発生した「アルジェ・モーテル事件」を描いた映画。
1964年に公民権法が制定されて黒人に対する差別撤廃の機運が高まりつつも、その根に脈々と根付いてしまった差別感情は簡単に払拭できるはずもなく、自分の境遇に対しての不満があればあるほどマイノリティへの攻撃が過激になってしまう状況は、なんだか、この2018年の状況とそんなに変わってないんじゃないのかあ、とおもいながら観てしまった。この映画で描かれた「デトロイト暴動」のあとの1992年には「ロサンゼルス暴動」が起きたし、映画界では最近でも黒人俳優が差別されてんじゃないのか、なんてことも話題になったし、日本でもSNSでのレイシズムが大きな問題になったりして、人種差別には越えられない高い壁が今もって存在しているのがなんとももどかしい。
でも、そんな虐げられた人たちの「負」のパワーが「正」に転じれば、ハングリー精神とも呼ばれる絶大なるパワーを伴って人種偏見をも超越したスーパースターが生まれることも事実だし、もしその反転するパワーがなければ味気ない世の中になってしまうのは必至のようにもおもえるし、またまたジレンマに悩まされてしまう。
キャスリン・ビグロー監督は「アルジェ・モーテル事件」に巻き込まれたミュージシャンにも焦点を当てつつ、デトロイトで生まれた「モータウン」レーベルの華やかな世界と貧しい黒人たち、そしてブルーカラーにも見えるデトロイト市警の警官たちをコントラスト鮮やかに浮かび上がらせていた。そして、前作の『ゼロ・ダーク・サーティ』でも見せた手持ちカメラ映像の細かいモンタージュが実際にその場にいるような緊迫感を生んで、まるでドキュメンタリーの映像を見ているかのようだった。だからとても疲れた。でも素晴らしい映画だった。
→キャスリン・ビグロー→ジョン・ボイエガ→アメリカ/2017→109シネマズ菖蒲→★★★★