監督:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:ダニエル・デイ=ルイス、ヴィッキー・クリープス、レスリー・マンヴィル、カミラ・ラザフォード、ジーナ・マッキー、ブライアン・グリーソン、ハリエット・サンサム・ハリス、ルイザ・リヒター、ジュリア・ルイス、ニコラス・マンダー、フィリップ・フランクス、フィリス・マクマホン、サイラス・カーソン、リチャード・グラハム
原題:Phantom Thread
制作:アメリカ/2017
URL:http://www.phantomthread.jp
場所:新宿武蔵野館
ポール・トーマス・アンダーソンの映画を観ていると、自分たちのありきたりな生活の奥底に隠されている人間の本性を見せつけられているようで、脳の中の使われていない部分がキリキリと刺激されているような感覚におちいって、どんどんと活性化して行って、目がランランとして来て、ちょっとした興奮状態になってしまう。
『ファントム・スレッド』でのダニエル・デイ=ルイスとヴィッキー・クリープスを見ても、一見すると尋常ならざる関係に見えながら、実際には私たちの人間関係の中に潜んでいる個々の嫌らしさをあぶりだしていて、仕事がバリバリ出来て素敵な人だけど自分にとってはそのパワーが少し弱っていたほうがちょうど良いとか、お前は仕事に役立つマネキンとしてただそこに立っていれば良いからいちいちキイキイ(効果音のレベルを上げて観ている我々の神経を逆なでさせるほど!)わめき立てないでくれとか、自分の我を押し通す人間同士が駆け引きをする関係に酔いしれてしまう。
まあ、それだけなら良くある映画なのかもしれないけれど、ポール・トーマス・アンダーソンはこの映画のラストでダニエル・デイ=ルイスがヴィッキー・クリープスの要求を(実は理解していて)受け入れるシーンを静かに見せつけてくれる。こんな夫婦関係なんてあるんだろうか? あったとしたら怖い!
→ポール・トーマス・アンダーソン→ダニエル・デイ=ルイス→アメリカ/2017→新宿武蔵野館→★★★★