監督:グレタ・ガーウィグ
出演:シアーシャ・ローナン、ローリー・メトカーフ、トレイシー・レッツ、ルーカス・ヘッジズ、ティモシー・シャラメ
原題:Lady Bird
制作:アメリカ/2017
URL:http://ladybird-movie.jp
場所:ユナイテッド・シネマ浦和

ノア・バームバック監督の『フランシス・ハ』やマイク・ミルズ監督の『20センチュリー・ウーマン』などに出演していた女優グレタ・ガーウィグの監督作品。

『20センチュリー・ウーマン』でのグレタ・ガーウィグは、70年代後半のニューヨークでカメラマンを目指していたけれども子宮頸がんを患ってこころざし半ばで故郷のサンタバーバラへ戻ってきた女性アビーを演じていた。このキャラクターはマイク・ミルズ監督の姉がモデルとなっているらしくて、グレタ・ガーウィグ自身が投影されたものではないんだろうけど、でも、自分で脚本を書いたノア・バームバック監督の『フランシス・ハ』に登場するフランシスと重ね合わせると「都会で受けた傷心を優しく癒やしてくれる故郷」と云うエピソードが両作品で共通していた。

そのグレタ・ガーウィグが脚本を書いて監督をした『レディ・バード』は彼女の自伝的要素の強いストーリーで、だからシアーシャ・ローナンが演じている主人公の“レディ・バード”がグレタ・ガーウィグ自身をそのまま反映していると考えると、ここにまた「都会で受けた傷心を優しく癒やしてくれる故郷」が見え隠れするところはとても面白かった。故郷のサクラメントから抜け出したいと考えている主人公を描いていながらも、実際にはそのサクラメントに対するラブレターを撮ってしまっているグレタ・ガーウィグにとって「癒やしの故郷」は普遍的なテーマなんじゃないかとおもう。

グレタ・ガーウィグは今回の映画を撮るにあたって350ページもの長い脚本を書いてしまって、そこから120ページにまで減らしたそうだ。だから、いろいろなエピソードの中をトップスピードで駆け抜けて行く映画になってしまっている。ちょ、待って、走っている車から落ちたのにさりげなく巻かれている右手のギプスだけ? とか、どう見ても白人ではない兄の由来は語ってくれないの? とか。なので、エピソード同士のつなぎを無視して、ただ単純にシーンを継ぎ接ぎしているようなイメージが若干あるけど、テンポが良くて、シアーシャ・ローナンのキャラクターも快活で小気味が良いので、全体的には気持ちよく観られる映画になってはいた。

→グレタ・ガーウィグ→シアーシャ・ローナン→アメリカ/2017→ユナイテッド・シネマ浦和→★★★☆