監督:是枝裕和
出演:リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、城桧吏、佐々木みゆ、池松壮亮、緒形直人、森口瑤子、蒔田彩珠、山田裕貴、片山萌美、高良健吾、池脇千鶴、柄本明、樹木希林
制作:フジテレビジョン、AOI Pro.、ギャガ/2018
URL:http://gaga.ne.jp/manbiki-kazoku/
場所:109シネマズ木場

是枝裕和監督の『万引き家族』がカンヌ映画祭の最高賞である「パルム・ドール」を受賞したことが日本でも大きく報道された。日本の映画が海外の映画祭で賞を獲ることは大変うれしいことだけど、そのような映画賞を獲ることに熱心な監督がいつも同じ人なのが面白いと云うか残念と云うか。個人的には映画の賞なんて、アホらしい、とおもっている人のほうが好きだけど。

で、『万引き家族』を観るにあたって、日本映画専門チャンネルで是枝裕和監督の過去の映画を立て続けにざっと見た。『三度目の殺人』(2017年)は面白かった。そしてフジテレビのNONFIXで放送された「しかし… 福祉切り捨ての時代に」(1991年)「もう一つの教育〜伊那小学校春組の記録〜」(1991年)も面白かった。しかし、『ワンダフルライフ』(1999年)はその設定に乗ることが出来ず、『DISTANCE』はあまりにも役者のセリフが聞き取りにくかった。

この5本をざっと見渡して、そして観たことのある『幻の光』(1995年)、『誰も知らない』(2004年)、『空気人形』(2009年)、『そして父になる』(2013年)、『海街diary』(2015年)も合わせて考えてみると、是枝裕和監督は絶えずドキュメンタリーを意識しているんだなあ、ってことがわかる。でも、どちらかと云えば一番ドキュメンタリー描写からかけ離れた劇映画である『三度目の殺人』と純粋なドキュメンタリーである「しかし… 福祉切り捨ての時代に」「もう一つの教育〜伊那小学校春組の記録〜」が面白くて、劇映画にドキュメンタリー的な描写を入れようと腐心している映画があまりおもしろくなかったのは、やはりプロの役者を使っている以上、ふたつを融合することの限界が見えてしまうからなんだとおもう。『ワンダフルライフ』はすべて無名の役者か素人を使うべきだったんじゃないのかなあ。

『万引き家族』の場合も安藤サクラや樹木希林なんてものすごく演技が巧い。惚れ惚れするほどだ。ただ、配役に有名な役者ではなくてプロか素人かわからないような、それでもって自然なんだか演技なんだかわからないような人を持って来た時のことを考えると、いやあ、それが是枝裕和の求めているものじゃないのかなあ、なんておもったりもする。だから、ふたりの子役はもちろんベストな配役だった。

前から云うように、子供をダシに使ってやたらと幼気さをアピールする映画はハンディ、マイナス100ポイントだけど。

→是枝裕和→リリー・フランキー→フジテレビジョン、AOI Pro.、ギャガ/2018→109シネマズ木場→★★★☆