監督:サミュエル・マオズ
出演:リオル・アシュケナージ、サラ・アドラー、ヨナタン・シライ、シラ・ハイス、ユダ・アルマゴル、カリン・ウゴウスキー
原題:פוֹקְסטְרוֹט
制作:イスラエル、ドイツ、フランス、スイス/2017
URL:http://www.bitters.co.jp/foxtrot/
場所:新宿武蔵野館
レバノンの『判決、ふたつの希望』に続いて今度はイスラエルの映画。
とても不思議な映画だった。大きく3つのパートに別れているこの映画は、人物のクローズアップ多様の「怒り」とでも名付けることのできるパートで衝撃を与えて、次にロングショット多様の「静寂」とでも名付けることのできるパートで落ち着かせて、そして最後に最初のパートと同様にクローズアップ多様の、でも今度は「受容」とでも云えるパートで穏やかに終わらせている。この3つのパートのあいだで波打つ人間の感情の振幅がまるで交響曲の旋律のようで、ベートーヴェンの「運命」を聞いているようだった。特に、2つ目の「ラクダが通る検問所」のパートは、静けさの中の突然の衝撃が強烈で、ちょっとデヴィッド・リンチの映像をも彷彿とさせて、映画館をあとにしてもその残像が尾を引く変わった映画だった。
サミュエル・マオズ監督がヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した『レバノン』を観なければ。
→サミュエル・マオズ→リオル・アシュケナージ→イスラエル、ドイツ、フランス、スイス/2017→新宿武蔵野館→★★★☆