監督:イングマール・ベルイマン
出演:マックス・フォン・シドー、イングリッド・チューリン、ナイマ・ウィフストランド、グンナール・ビョルンストランド、ベント・エケロート、ビビ・アンデショーン、エルランド・ヨセフソン
原題:Ansiktet
制作:スウェーデン/1958
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場所:新文芸坐
イングマール・ベルイマンの映画を好きだと云っておきながら初期の作品をあまり観ていない。なので、昨年のYEBISU GARDEN CINEMAで行われた「ベルイマン生誕100年映画祭」でのデジタルリマスター版で彼の初期作品を拾っておきたかったのだけれど、悲しいかな、もう恵比寿に行く気力がなかった。まあ、いつかは名画座を巡回してくれるだろうとおもっていたら、今回、池袋の新文芸坐で上映がはじまったのでさっそく観に行った。
ベルイマンの初期の映画は、その宗教的な内容を理解することはなかなか難しい。今回の『魔術師』は、オカルト的な古臭い出し物が時代と合わなくなってしまっている魔術師一座を「キリスト教」と見立てて、それを嘲笑っている科学者や警察署長たちを「無神論者」と見れば、そのどちらをも笑っているような喜劇として捉えることができるのだろうけれど、その喜劇を心底から笑えるのはベルイマンと同じように幼い頃から宗教が生活の場にあったものだけなんだろうとおもう。宗教とのかかわり合いの薄い日本人にはなかなか笑うことができない。笑えるとしても本題を彩っている装飾的な部分だけだった。
自分にとって手がかりがあるとすれば、社会を構成する上での「宗教」の存在を肯定しながらも、それを自分が「信心」することは到底できない、というジレンマくらいかなあ。そんなの、ベルイマンのキリスト教に対する葛藤に比べたら、小さい、小さい。
→イングマール・ベルイマン→マックス・フォン・シドー→スウェーデン/1958→新文芸坐→★★★☆