監督:ジョナス・メカス
出演:ジョナス・メカス、アドルファス・メカス
原題:Lost Lost Lost
制作:アメリカ/1976
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場所:シアター・イメージフォーラム
もし生まれたときからの自分の目で見た映像をなにかしらの媒体に記録ができて、それをいつでも再生することができたとしたら、それは嬉しいことなのか、それとも辛いことなのか。ジョナス・メカスの『ロスト ロスト ロスト』を観てふとそんなことを考えていた。自分の記憶をたどる行為はノスタルジックでセンチメンタルな行為のような気もするけど、そこにには自分の良いように改変された記憶だからこその甘さがあって、そのものズバリの事実を突きつけられてしまったら感傷的な気持ちも和らいでしまうだろうなあ。
1949年から約20年間にわたるリトアニアからの難民としてニューヨークの生活を綴ったこのメカスの映画日記は、そこに編集作業と云う行為が加わることによって、自分の良いように改変された記憶と同じような甘さが加わって、やはりノスタルジックでセンチメンタルなものになっていた。映画のナレーションでメカス自身が「わたしをセンチメンタルだと言うがよい。あなたたちは自分の生まれた国にいる人達。わたしは異国なまりの英語をしゃべり、どこから流れてきたヤツだろうと思われている人間。これは、国を追われた誰かが撮っておいた映像とサウンドなのだ」(飯村昭子訳)と云っているんだから、もうそれはメカス自身のひとつの大きなテーマになっている。
いつも云っているように、センチメンタルな映画が大好きな自分にとってはたまらない映画ではあったのだけれど、ちょっと180分は長すぎて、後半はくたびれました。
→ジョナス・メカス→ジョナス・メカス→アメリカ/1976→シアター・イメージフォーラム→★★★☆