監督:加納土
出演:加納土、加納穂子
制作:おじゃりやれフィルム/2018
URL:http://chinbotsu.com
場所:ポレポレ東中野
1995年当時シングルマザーだった加納土監督の母・加納穂子(当時23歳)は、共同で子育てをしてくれる「保育人」を募集する。「いろいろな人と子どもを育てられたら、子どもも大人も楽しいんじゃないか」という考えのもとに集まった独身男性や幼い子をかかえた母親など10人ほどの中で加納土監督は育てられていく。それは「沈没家族」と命名されてテレビでも取り上げられて話題となった。
大きくなった加納土監督は、武蔵大学在学中の卒業作品として自身が育てられた「沈没家族」のドキュメンタリーを制作し、それを再編集して劇場版として公開した。
映画を観はじめた第一印象として、やはりそこにはイエスの方舟のようなエセ宗教的な胡散臭さや、ヤマギシ会のようなカルト的な押し付けがましさを感じてしまった。でも、そんなありふれた感情は一瞬のうちに氷解してしまった。加納土監督の母・加納穂子の考えは、もっと自由だったし、いい意味でも悪い意味でも適当だったし、単純に一人でやらなければならない子育てが面倒くさかっただけだったのかもしれない。頭の固い人たちはそんなところに無責任さを感じてしまうのだろうけど、母と子だけの閉ざされた環境での子育てで起きてしまういろいろな問題を見れば、そのような環境よりは「沈没家族」のほうが良いに決まっているような気がしてならない。
こんな「沈没家族」のような環境が、それぞれの自治体のコミュニティにもあったら児童虐待とかは減るんじゃないかと単純に考えてしまう。本当に、単純に、だけど。
→加納土→加納土→おじゃりやれフィルム/2018→ポレポレ東中野→★★★☆