鄙(いなか)より都会へ

監督:ジャック・フォード(ジョン・フォード)
出演:ハリー・ケリー、モリー・マローン、L・M・ウェルズ
原題:Bucking Broadway
制作:アメリカ/1917
URL:
場所:アテネ・フランセ文化センター

ジョン・フォードはいつも使う俳優を固定させていることで有名で、それは主役だけではなくて脇役でさえも同じ俳優を使っていて、その中にハリー・ケリー・ジュニアがいた。そのジュニアのお父さんも有名な俳優ハリー・ケリーで、ジョン・フォードがサイレント映画時代によく使っていたことは映画関係の書籍などで知っていた。しかし、自分が実際に見ることのできたハリー・ケリーは、フランク・キャプラ監督の『スミス都へ行く』(1939)の上院議長役くらいで、もちろん主演映画を見たことはなかった。

『鄙より都会へ』でのハリー・ケリーの印象は、サイレント映画用のメイクをしているうえに肉声が無いので、いまの映画からすればだいぶ作られたイメージしか印象に残らないのだけれど、『スミス都へ行く』で見せた上院議長と云う公正な立場を崩さないながらも、正義を貫くジェームズ・スチュアートに温情を寄せざるを得ない男の笑顔とまったく同じ笑顔がこのサイレント映画にはあった。この真っ直ぐな性格を象徴するような屈託のない笑顔こそがハリー・ケリーの魅力のような気がする。

ジョン・フォードのサイレント映画でハリー・ケリーが主演をつとめた一連の「シャイアン・ハリーもの」をもっと観たいな。

→ジャック・フォード(ジョン・フォード)→ハリー・ケリー→アメリカ/1917→アテネ・フランセ文化センター→★★★