マン・オブ・スティール

監督:ザック・スナイダー
出演:ヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムス、マイケル・シャノン、ケビン・コスナー、ダイアン・レイン、ローレンス・フィッシュバーン、アンチュ・トラウェ、ハリー・J・レニックス、クリストファー・メローニ、リチャード・シフ、マッケンジー・グレイ、マイケル・ケリー、アイェレット・ゾラー、ラッセル・クロウ
原題:Man of Steel
制作:アメリカ/2013
URL:http://wwws.warnerbros.co.jp/manofsteel/index.html?home
場所:109シネマズ木場

アメコミのヒーローものをじっくりと読んだことがあまりないのだけれど、今は無き銀座の洋書店「イエナ」などで立ち読みをした経験からすると、暴力的な描写が多い割にはアメリカ的な能天気さを持っていて、原色を多用した色使いからも明るいコミックと言うイメージをずっと持ち続けていた。それは1970年代に映画化された「スーパーマン」シリーズにも反映されていて、ティム・バートン版「バットマン」シリーズもサム・ライミ版「スパイダーマン」シリーズにも、若干「スーパーマン」シリーズよりも主人公の「負」の部分が強調されている暗さはあるものの、おおむねアメコミの明るさを保持していたようにもおもえた。

ところが、クリストファー・ノーランが「バットマン」シリーズを撮り出したあたりから様相は一変する。ずしんと重厚さを増すようになったのだ。これは別にクリストファー・ノーランの個人的なイメージが反映されたわけじゃなくて、アメコミ自体が、例えば『ウォッチマン』の映画が公開されたときにその原作を読んでみたのだけれど、もう暗く、重く、救いのないイメージに変貌してしまっていた。アメコミの「ダークナイト」も、最近のスーパーマンシリーズである「スーパーマン:アンチェインド」も、すべて昔のアメコミとは違った「ウォッチマン」のような画調に変わっていた。これはいつからなんだろう? 「ウォッチメン」の最初のシリーズが1986年からなので、もうすでにその時には変化していたのかもしれない。

スーパーマン:アンチェインド

だから、スーパーマンシリーズの仕切り直しでもあるこの『マン・オブ・スティール』も、ずっしりと重く、暗く、とても破壊的だった。電話ボックスの中で変身するようなおおらかさはどこにもなく、映画を観ているあいだ、ずっと殴られっぱなしのような映画だった。ここでもまた007シリーズやスタートレックシリーズの時と同じように「空を見ろ! 鳥だ! 飛行機だ! いや、スーパーマンだ!」なんて言っていたころのスーパーマンのことを懐かしんでしまう。まあ、これはこれで、いまの時代を反映しているんだろうけど。

→ザック・スナイダー→ヘンリー・カヴィル→アメリカ/2013→109シネマズ木場→★★★