天気の子

監督:新海誠
声:醍醐虎汰朗、森七菜、小栗旬、本田翼、倍賞千恵子、吉柳咲良、平泉成、梶裕貴
制作:「天気の子」製作委員会/2019
URL:https://tenkinoko.com
場所:109シネマズ菖蒲

2016年に公開されて250億円の最終興行収入を記録した新海誠監督の『君の名は。』は、いつも映画を観ないような人たちを映画館に足を向けさせて、その現象が一般のニュースにも取り上げられるような大きな話題となる映画となった。内容としては、情報過多なストーリーをRADWIMPSの音楽で無理やり盛り上げて、観ているものの感情を充分に高ぶらせたところで涙腺を刺激させる目くらましな感じは否めないけれど、映画ファンでもアニメファンでもない人たちを惹きつけた映画を作った新海誠監督の功績はとても大きいとおもう。

その新海誠監督の新作『天気の子』は、祈ることで局地的な範囲を一時的に晴れにする不思議な力を持つ少女のはなし。これがまたドラマの構成においても、自然現象の恐怖を扱うところでも、キャラクターデザインも、そしてRADWIMPSの音楽の使い方から云っても、まったく『君の名は。』とそっくりだった。こんな、同じパターンを繰り返す新海誠監督のアニメーションづくりに批判が出ることは想像ができるけど、映画を観終わったあとのシネコンの出口に向かう途中で、おそらく中学生とおもわれる女の子のグループが映画に感動した話しをぺちゃくちゃしているところを見て、ああ、そんな批判なんてまったく意味をなさないなあ、とはおもった。山田洋次が『男はつらいよ』シリーズを撮り続けていたとき、同じはなしの繰り返しだ、マンネリだ、と批判をよく聞いた。でも、いま『男はつらいよ』の全話を見返してみると、そこには清々しいくらいの「繰り返し」があって、山田洋次の作家性すら感じてしまう。

同じ路線の映画でも、それを求めている観客がいる以上、新海誠監督はこのタイプの映画を取り続けても良いんじゃないのかなあ。いや、かえって『星を追う子ども』のような新境地を求めたりするとすぐにみんなにそっぽを向かれちゃうな。

→新海誠→(声)醍醐虎汰朗→「天気の子」製作委員会/2019→109シネマズ菖蒲→★★★☆