監督:ルイス・オルテガ
出演:ロレンソ・フェロ、セシリア・ロス、ルイス・ニェッコ、メルセデス・モラーン、ピーター・ランサーニ、セシリア・ロス、マレーナ・ヴィラ
原題:El Ángel
制作:アルゼンチン、スペイン/2018
URL:https://gaga.ne.jp/eiennibokunomono/
場所:新宿武蔵野館

アルゼンチンの犯罪史上で最も有名な連続殺人犯の少年カルロス・エデゥアルド・ロブレド・プッチをモデルにした映画。

社会の常識に囚われない人間をドラマの中で見るのは、常識に縛られて動きのとれない人間から見れば痛快極まりなくて、自分のできないことを実現している主人公に対して感情移入することこそが映画鑑賞の醍醐味だとはおもう。ところが、主人公のあまりにも非常識な行為が度を越しはじめると途端に感情移入が出来なくなってしまう。

この映画の主人公である少年カルリートスがなんの屈託もなく窃盗を重ねるシーンは気持ちのいいものだったけれど、ためらいもなく殺人を繰り返しはじめると途端に気持ちが離れて行ってしまった。そこに興味への細い糸があるとすれば、いかにしてサイコパスが生まれるのか? への興味だけだった。たとえば最近の日本の不可解な事件を見ても、川崎の登戸の事件でも、京アニ事件でも、実際の事件への興味よりも、どうしてそのような犯人を我々の社会は生んでしまうのか、その誕生の過程にどんな要因があるのか、そればかりが気になってしまう。

やはり我々の世代にとっては宮崎勤の事件の衝撃はすさまじく、どうして自分は「宮崎勤」にならなくて済んだのだろう? ばかりが頭がよぎることになってしまった結果、凄惨な事件が起きると、起きてしまった事件への興味よりも、そのような犯人が生まれてしまう社会的な起因ばかりが気になってしまう。

『永遠に僕のもの』には、連続殺人犯であるカルリートスが生まれた原因について、もうちょっと突っ込んだものが欲しかったような気がする。

→ルイス・オルテガ→ロレンソ・フェロ→アルゼンチン、スペイン/2018→新宿武蔵野館→★★★