今年も山形にやって来て、まずは以下の3本。

●ノンタワット・ナムベンジャポン監督『空低く 大地高し』(タイ、カンボジア、フランス/2013)
タイの赤シャツ族と黄シャツ族の政治的な対立を語りながらも、映像はタイやカンボジアの農村部の人々のくらしや美しい自然をゆったりと追いかけて行く。政治的でありながらも叙情的であると云う、狙いであるんだろうけど、ちょっと中途半端な。

●羅興階(ルオ・シンジエ)、王秀齢(ワン・シウリン)監督『天からの贈り物 小林村の悲劇』(台湾/2013)
『天からの贈り物 小林村の悲劇』とあるけど原題は“A Gift from the Sky–The Tragedy of Hsiaolin Village, Part 2”とあるので、これはパート2だった。2009年の88災害で一瞬のうちに土石流に飲まれて400人もの死者を出した台湾の小林村の生き残った人々のその後を描く。それぞれの人間に焦点を当てながらも、台湾人の気質があぶり出てくる描き方は巧かった。ちょっと長く感じてしまったけど。

●ジョシュア・オッペンハイマー監督『殺人という行為』(デンマーク、インドネシア、ノルウェー、イギリス/2012)
インドネシア政府に雇われて共産主義者を大量に殺害したマフィアのボスに、実際に行われた殺人行為を映画化するように持ちかけるドキュメンタリー。ジョシュア・オッペンハイマーは、刑事罰に問われない大量殺人を行ったアンワル・コンゴと云うマフィアのボスに対して、その行為の異常性を精神面から自覚させるためにこのドキュメンタリーを作ったんだろうか。それにしてはその結果が復讐にまで到達してしまっているのがすごい。いつもおもうんだけど、ドキュメンタリーはフィクション映画以上に何でもありだ。