カツベン!

監督:周防正行
出演:成田凌、黒島結菜、永瀬正敏、高良健吾、音尾琢真、徳井優、田口浩正、正名僕蔵、成河、森田甘路、酒井美紀、シャーロット・ケイト・フォックス、上白石萌音、城田優、草刈民代、山本耕史、池松壮亮、竹中直人、渡辺えり、井上真央、小日向文世、竹野内豊
制作:「カツベン!」製作委員会/2019
URL:https://www.katsuben.jp
場所:Movixさいたま

シネコンにしては年齢層高めのスクリーンで観た周防正行監督の『カツベン!』は、正月にふさわしい楽しい映画ではあったけのだれど、「カツベン」とタイトルを付けておきながら、サイレント映画時代の活動弁士の魅力をじゅうぶんに伝えることが出来ていないんじゃないのかなあ、と云う感想がまっさきに立ってしまった。それは名弁士「山岡秋声」役の永瀬正敏にまったく弁士としての魅力を感じられないことからはじまって、声だけで女性を卒倒させる高良健吾の弁士にもどうしてそんなに人気があるのかさっぱりわからなかったし、ああ、成田凌にも主演俳優としての魅力を感じられなかった。

当時の活動弁士の魅力とは、かろうじて知識としてある徳川夢声をイメージすれば、そこには必ず巧みな話術があって、活動写真にシンクロさせた言葉の選び方とそのハーモニーに当時の人々は魅力を感じていたんじゃなかろうかと推測できる。でも『カツベン!』では、ドタバタばかりが先行してしまっていて、その肝心な活弁士による弁舌のテクニックに対する執念みたいなものが置き去りにされてしまっていた。もうちょっと活動弁士の魅力を掘り下げてほしかったなあ。

→周防正行→成田凌→「カツベン!」製作委員会/2019→Movixさいたま→★★★