監督:豊島圭介
出演:三島由紀夫、芥正彦、木村修、橋爪大三郎、篠原裕、宮澤章友、原昭弘、椎根和、清水寛、小川邦雄、平野啓一郎、内田樹、小熊英二、瀬戸内寂聴、東出昌大(ナレーション)
制作:映画「三島由紀夫VS東大全共闘」製作委員会/2020
URL:https://gaga.ne.jp/mishimatodai/
場所:109シネマズ木場
1960年(昭和35年)の安保闘争から始まって、60年代末の全国学園闘争に至る時代の流れをいまから振り返ってみると、アメリカとソ連の冷戦があって、そのイデオロギーの対立からベトナム戦争が派生して戦争推進派と反対派の対立が起きて、さらにそう云った問題提起の機運が増したことから公民権運動が起きたりして、と云う世界情勢の中での、ノンポリではいられない状況に追い詰められた日本の学生たちのうわべだけを飾りたてるブームでしかなかったんじゃないかと今から見ればそうおもってしまう。
この映画を観ても、やっぱり東大全共闘なんて、哲学思想の難解な言葉を使って自己武装することがかっこいいとおもっている集団にしか見えなくて、本当に日本で革命を起こせると信じていた集団であったかどうかは疑問しか感じられない。
けれども、三島由紀夫がこの討論の最後に、
私は諸君の熱情は信じます。これだけは信じます。他のものは一切信じないとしても、これだけは信じるということを分かっていただきたい
と云っているように、東大全共闘たちの、いや芥正彦だけか、「熱情」はすごく伝わってきた。小説家である三島由紀夫はもちろんのこと、東大全共闘の芥正彦が「言葉」を大切にしていたことはひしひしと伝わって来る映画だった。
今の時代の耐え難い「言葉」の軽さを考えれば、良い時代だったなあ、とおもえてしまう映画だった。
→豊島圭介→三島由紀夫→映画「三島由紀夫VS東大全共闘」製作委員会/2020→109シネマズ木場→★★★★