監督:ウディ・アレン
出演:ティモシー・シャラメ、エル・ファニング、セレーナ・ゴメス、ジュード・ロウ、ディエゴ・ルナ、リーヴ・シュレイバー、レベッカ・ホール、ウィル・ロジャース、チェリー・ジョーンズ
原題:A Rainy Day in New York
制作:アメリカ/2019
URL:https://longride.jp/rdiny/
場所:109シネマズ菖蒲
ウディ・アレンも84歳になって、いつ遺作が来てもおかしくないなあ、とおもいながら次回の公開作を待っている身になって来た。ところが、ちょっとおかしな方向に転がり始めた。きっかけは2017年にハリウッドの大物プロデューサー、ハービー・ワインスティーンによるセクハラ・性犯罪疑惑が次々と暴露されて、「#MeToo (私も)」という掛け声とともに多くの女優が告発を始めたことからだった。
ウディ・アレンは、別れたミア・ファローとの間で行われた親権裁判で、養女ディラン・ファローに対して性的虐待が行われていたと告発された。しかし、決定的な証拠はないと裁判所に判断されて、警察の捜査でも訴追とはならなかった。ところが今回の「#MeToo 」運動の流れを受けて、当のディラン・ファローがロサンゼルス・タイムズに「なぜ #MeToo はウディ・アレンを見逃すのか」と題する署名記事を発表してまた騒ぎが再燃した。俳優たちがこぞってウディ・アレンとの仕事を後悔し、ギャラをチャリティーに寄付するなど、彼は映画監督としての立場を失うばかりになってしまった。
ウディ・アレンは今年になって自伝『Apropos of Nothing』を出版して、過去の児童性的虐待疑惑についての彼側の言い分を述べているらしいが、それでも、今の流れのままではウディ・アレンが今後映画を撮れるとはとてもおもえない。彼のキャリアはこのままThe Endとなってしまうのかなあ。そうだとすると、とても悲しい。
新作の『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』も、最近の彼の映画はマンネリ化しているような気もするけれど、相変わらず会話のシーンが巧くて、観ていてめちゃくちゃ楽しい。いや、楽しいと云うことを通り越して、空気のような、水のような透明感に支配されて、コロナ禍などすっかり忘れて安心してまったりと映画館の座席に座っていられる。このような映画が存在するのは稀有なことだ。
ウディ・アレンに何かしらの非があったことは確かなんだろうとおもう。それがどれくらいの大きさなの非なのか判断できないけれど、それだけを持ってして彼の才能を潰してしまうのはどうなのかなあ、とはおもう。難しいところだ。
→ウディ・アレン→ティモシー・シャラメ→アメリカ/2019→109シネマズ菖蒲→★★★★