監督:フランソワ・オゾン
出演:メルヴィル・プポー、ドゥニ・メノーシェ、スワン・アルロー、エリック・カラヴァカ、ベルナール・ヴェルレー、フランソワ・マルトゥーレ、ジョジアーヌ・バラスコ、エレーヌ・ヴァンサン、マルティーヌ・エレール
原題:Grâce à Dieu
制作:フランス、ベルギー/2018
URL:https://graceofgod-movie.com
場所:新宿シネマカリテ
トム・マッカーシー監督の『スポットライト 世紀のスクープ』の中で描かれていたボストンのカトリック司祭による子供への性的虐待事件は、もちろんフランスでも似たような事件が起きていて、その問題をメディアの側からではなく、被害者側からの視点から描いた映画がフランソワ・オゾン監督の『グレース・オブ・ゴッド』だった。
フランソワ・オゾン監督の映画にしては珍しい社会問題を扱ったドキュメンタリー風の映画で、子供のころに神父から性的虐待を受けていた3人の被害者による告発を、最初は上流階級に位置するアレクサンドル・ゲランの視点から、次に中流階級に位置するフランソワ・ドゥボールの視点から、最後に下流階級に位置するエマニュエル・トマサンの視点から描いているところが面白かった。その三者三様の視点を、あからさまに章立てて分断させることなくて、切れ目なく流れるように描いている構成が巧かった。
その3人の中でも、高いIQを持ちながら神父による性的虐待がトラウマとなって、てんかんを発症するようになってしまった最後のエマニュエルの描写が生々しくて、実話を元にしたドキュメンタリー風の映画でありながら、そんなところがフランソワ・オゾンの映画だった。
→フランソワ・オゾン→ルヴィル・プポー→フランス、ベルギー/2018→新宿シネマカリテ→★★★☆