監督:柴田昌平
出演:熊谷幸治、宮尾亨、横石臥牛、谷川菁山、加藤宏幸、小泉龍人、任星航、ティエリー・ヴォワザン、山花京子、のん(ナレーション)
制作:プロダクション・エイシア、NHKエデュケーショナル、Tencent Penguin Pictures/2021
URL:http://asia-documentary.kir.jp/ceramics/
場所:ポレポレ東中野

何かの「物」の成り立ちを聞くと、必ず、へぇ~っ、になる。新旧を問わず、すべての「物」に対してそうなる。

最近でも、新型コロナウイルス感染症の重症化の目安となる血液中の酸素飽和度を測定できるパルスオキシメータは、日本人の青柳卓雄と言う人が今から50年近くも前に原理を開発したと聞いて、へぇ~っ、になった。その青柳卓雄の開発信念は「患者モニタリングの究極の姿は治療の自動化であり、その理想に近づくためには、無侵襲連続測定の開発が重要である」と云うことだったらしい。ITや電子デバイスが進化した現在なら誰でもおもい付くことだけれども、それを50年近くも前に考えていたとは驚きだった。

青柳卓雄氏とパルスオキシメータ(日本光電ホームページ、https://www.nihonkohden.co.jp/information/aoyagi/

そのような電子機器でさえも、へぇ~っ、になるのに、もっと一般的な、誰もが昔から使っている普遍的な道具の成り立ちを聞くと、へぇ~っ度がますますアップする。

柴田昌平監督の『陶王子 2万年の旅』は、我々のもっとも身近な道具の一つである「器」の成り立ちを追っているドキュメンタリーだった。縄文土器、景徳鎮、マイセンと、それぞれの名前を聞いたことがあっても、それが線で結ぶことは自分の中であまりなかった。時系列に、流れるように「器」の変遷を追って行けば、同時に人間の文明の歴史に直結していることが、へぇ~っ、だった。

映画が終わったあとに、ZOOMによる柴田昌平監督による質疑応答が行われて、監督はとくに、映画の中に差し込まれる陶器の人形劇の評判を気にしていた。たしかに、それ、いるのかな? とは多少はおもうけれど、のんのナレーションといっしょに映画のイメージを決定づけけていて、それはそれで良かったような気もする。

→柴田昌平→のん(ナレーション)→プロダクション・エイシア、NHKエデュケーショナル、Tencent Penguin Pictures/2021→ポレポレ東中野→★★★★