監督:キャリー・ジョージ・フクナガ
出演:ダニエル・クレイグ、ラミ・マレック、レア・セドゥ、ラシャーナ・リンチ、ベン・ウィショー、アナ・デ・アルマス、ナオミ・ハリス、ジェフリー・ライト、クリストフ・ヴァルツ、レイフ・ファインズ
原題:No Time to Die
制作:イギリス、アメリカ/2021
URL:https://www.007.com/no-time-to-die-jp/
場所:109シネマズ木場

イーオン・プロダクションズが製作する「ジェームズ・ボンド」シリーズもこの『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』で25作目となるそうだ。その他の独立プロダクションが制作した『007/カジノ・ロワイヤル』(1967)と『ネバーセイ・ネバーアゲイン』(1983)を合わせても、おそらくは27本全部見ているとおもう。

ショーン・コネリーが方向づけたジェームズ・ボンドのイメージは、その後のロジャー・ムーアやピアース・ブロスナンも壊さないように大切に受け継いでいたとおもう。でも、ダニエル・クレイグが演るのジェームズ・ボンドは、映画のVFX技術の進化も相まって、アベンジャーズ並みのタフで不死身なヒーローとしてまるっきりイメージが変わってしまった。と云っても、それが悪いわけではなくて、時代とともに変化して行くジェームズ・ボンドを見るのも楽しかった。

ただ、軽妙洒脱なジェームズ・ボンドだろうと、仏頂面の大柄なジェームズ・ボンドだろうと、その対立する悪役に魅力がなければ映画として面白みに欠けるのは云うまでもないことだった。今回の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のラミ・マレックが演じる悪役サフィンは、ジェームズ・ボンドとの対立構図が曖昧で、そこにクリストフ・ヴァルツの「スペクター」元首領が絡むので、なおさら対立構図が分散してしまった。この映画でダニエル・クレイグのジェームズ・ボンドが終わるとするならば、ちょっと寂しい最後だった。

→キャリー・ジョージ・フクナガ→ダニエル・クレイグ→イギリス、アメリカ/2021→109シネマズ木場→★★★