監督:サム・ライミ
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、エリザベス・オルセン、キウェテル・イジョフォー、ベネディクト・ウォン、ソーチー・ゴメス、マイケル・スタールバーグ、レイチェル・マクアダムス
原題:Doctor Strange in the Multiverse of Madness
制作:アメリカ/2022
URL:https://marvel.disney.co.jp/movie/dr-strange2.html
場所:ユナイテッド・シネマ浦和

サム・ライミがマーベルの映画に帰ってきた。スパイダーマンではなくて、ドクター・ストレンジの第2作目で。

サム・ライミの『死霊のはらわた』と『死霊のはらわたII』を観たとき、たしか名画座の二本立てで観たような気もする、ホラー映画のジャンルでありながらも少しコメディにも寄っていて、グロテスクさが度を越せば笑いにも転じることを知らしめてくれた映画でもあった。「死霊のはらわた」シリーズの3作目『キャプテン・スーパーマーケット』はもう完全にコメディに転じていて、それだけにとどまらず、SFやファンタジーにも展開して、サム・ライミがやりたいことをすべてぶち込んでいるような楽しい映画になっていた。

サム・ライミ監督の『スパイダーマン』第1作目を映画館で観たとき、「スパイダーマン」と云うアメリカン・コミックを知ってはいても読んだことがなかったので、ただの「スーパーヒーローもの」だろうとしか認識がなかった。なので、サム・ライミが監督する意義がどこにあるのかよくわからなかった。ところがその内容は、ヒーローが悪を退治するだけのあっけらかんとしたものだけではなかった。いじめを受けている少年が特殊能力を授かる設定だったり、親友の父がビランになってしまったりと、人間のネガティブな部分を描く場面が多分にあったので、そのダークな部分とスーパーヒーローのライトな部分、この明暗を融合させて笑いやアクションも含ませた総合エンターテインメントを撮れる監督としてサム・ライミがぴったりだった。

今度の『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』も『スパイダーマン』と同様に、と云うかMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の映画はどれも、サム・ライミが監督としてぴったりだった。特に今回はダークな要素が多く描かれるので、そこは「死霊のはらわた」シリーズを彷彿とさせるところだった。でも、なんだろう? MCUの映画はどれも似たようなテイストになってしまっていて、それはVFX部分が同じようなテンションで描かれるからだろうか? サム・ライミが監督をしている意義をあまり感じられなくなってしまった。それはクロエ・ジャオの『エターナルズ』にも感じたことだった。

たぶん、もう、MCU映画に飽きてきているんだろうなあ。ここらで小休止、なにか違うテンションのMCU映画が欲しい。

→サム・ライミ→ベネディクト・カンバーバッチ→アメリカ/2022→ユナイテッド・シネマ浦和→★★★☆