監督:ポール・バーホーベン
出演:ビルジニー・エフィラ、シャーロット・ランプリング、ダフネ・パタキア、ランベール・ウィルソン、オリビエ・ラブルダン、ルイーズ・シュビヨット、エルベ・ピエール、クロチルド・クロ
原題:Benedetta
制作:フランス/2021
URL:https://klockworx-v.com/benedetta/
場所:新宿武蔵野館
ポール・バーホーベン監督の『ロボコップ』(1987)を最初に観たとき、今までのハリウッド映画にはない異様で過激な描写がかえって新鮮に写って、そこがこの映画を実際の出来以上に面白く感じた理由だったんじゃないかとおもう。それがハリウッド5作目の『スターシップ・トゥルーパーズ』(1997)になるとグロテスクな描写をやり過ぎてて、すっかりそのスタイルにも飽きがきてしまった。『インビジブル』(2000)を最後にハリウッドを去ったのは多くの人が同じような感想を持った結果だったのかもしれない。
ヨーロッパに活動の場を戻したポール・バーホーベン監督の映画にはまったく興味が持てなかったのだけれど、なぜか最新作の『ベネデッタ』は観てみようと食指が動いてしまった。
今回の主人公は17世紀に実在した同性愛主義で告発された修道女ベネデッタ・カルリーニ。聖痕が浮かび上がったとして信者の注⽬を集め、⺠衆の⽀持を得て修道院⻑に就任した女性をポール・バーホーベン監督が描いた。
へー、こんな史実があったのか、の興味が作品の出来を上回り、とても面白く観てしまった。映画自体はどこか70年代あたりの映画を彷彿とさせるような作りで、人物の描写方法やカメラワークなども懐かしさを感じて面白かった。そもそも性的に抑圧された修道女たちが敬虔な行動を捨てて性行為にふけるのは70年代に流行ったナンスプロイテーションのようだし、ベネデッタ役のビルジニー・エフィラが豹変して男の声で罵るシーンは『エクソシスト』にも見えるし、シャーロット・ランプリングも歳を重ねてはいるものの昔の美貌を感じさせる点も良かったし。
この映画に食指が動いたのは、ネットなどに流れてきた『ベネデッタ』のポスター等のビジュアルに昔の映画の匂いを感じたからかもしれない。その感覚は当たっていて、そう云った意味で楽しめた映画だった。
→ポール・バーホーベン→ビルジニー・エフィラ→フランス/2021→新宿武蔵野館→★★★☆