監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ
出演:パブロ・シルズ、ジョエリー・ムブンドゥ、アルバン・ウカイ、ティヒメン・フーファールツ、シャルロット・デ・ブライネ、ナデージュ・エドラオゴ、マルク・ジンガ
原題:Tori et Lokita
制作:ベルギー、フランス/2022
URL:https://bitters.co.jp/tori_lokita/
場所:新宿武蔵野館

ダルデンヌ兄弟の新作は、ベルギーにやってきたベナン出身のトリとカメルーン出身のロキタのはなし。ふたりはアフリカからベルギーへたどり着く途中で出会い、本当の姉妹のように助け合って生活を送っている。生活の基盤を得るためにしっかりとした仕事に就きたいロキタは、すでにビザが発行されているトリの姉と偽ってビザを取得しようとしていた。でも、この偽りの気持が次第に負の連鎖を産み、いつしか取り返しのつかない事態へと落ち込んでいく。

日本は移民に対して厳しい国だと云われる。確かに酷いとおもう。欧米のようにもうちょっと寛大になればい良いとおもうときもある。でも、フランス映画などで描かれる移民の生活ぶりを見ると、彼らの困窮ぶりが犯罪の温床になってしまっている。日本も間口を広げれば必ずと云ってその問題にぶちあたる。日本の人口が減少に転じるにつれ、受け入れざるを得ない移民のことをおもうと、このトリとロキタのストーリーは日本の将来に起こる出来事として捉えても何の問題もなかった。

いつもおもうことだけれど、ダルデンヌ兄弟の視線はシビアだ。そこまで強烈な展開を用意しなくても良いのに。映画を観終わって、肩を落としながら映画館を去った。

→ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ→パブロ・シルズ→ベルギー、フランス/2022→新宿武蔵野館→★★★★