監督:ベン・アフレック
出演:マット・デイモン、ベン・アフレック、ジェイソン・ベイトマン、マーロン・ウェイアンズ、クリス・メッシーナ、クリス・タッカー、ヴィオラ・デイヴィス
原題:Air
制作:アメリカ/2023
URL:https://warnerbros.co.jp/movie/air/
場所:MOVIXさいたま
はじめての海外旅行はニューヨークだった。飛行機がとてつもなく苦手だったけれど、ブロードウェイのミュージカルを観るために意を決した海外旅行だった。たしか、1989年のことだったとおもう。
で、その当時、大きなブームを巻き起こしていたのがNIKEのシューズだった。だからニューヨークへ行っておもわず買い求めてしまったのが「AIR MAX」だった。いま考えると、そんなに欲しくもないのに熱に浮かされて買ってしまったがために、流行りの「AIR MAX」なんて履いてるぜ、と云われるのがイヤで、日本に帰ってからは履かないまま放ったらかしにしてしまった。いつの間にか、接着剤がベロベロに溶けて靴底が剥がれてしまったので履けなくなってしまった。
とにかく1980年代の終わりごろから90年代にかけて、NIKEのシューズは日本でも品薄で、履いている人が襲われてシューズを強奪されるなんてとんでもない事件も起きた。ホンモノと見分けのつかない精巧なニセモノも氾濫していて、はたして自分の買ったシューズも本物かどうかもいま考えても怪しい。
自分の買った「AIR MAX」は1987年にNIKEから発売されたランニングシューズだった。でも「AIR」が付くシューズと云えば、1984年11月17日 に発売された「AIR ジョーダン1」が最初で、その「AIR ジョーダン1」の開発過程を描いたのがベン・アフレック監督の『AIR/エア』だった。
「AIR ジョーダン1」がどのように誕生したのかはまったく知らなかったけれど、なにかとてつもないものが生まれる過程には必ずと云って良いほどに大きな障害が立ちはだかるもので、それを苦労して乗り越えたからこそ反動は大きくなり、誰もが欲しがるヒット作が生まれる流れになるんだとおもう。だからそのドラマはNHKの「プロジェクトX」よろしく、やたらと感動秘話になりやすくて、お決まりのパターンになってしまうのが悲しい。
このベン・アフレック『AIR/エア』でも、そんな成功秘話のお決まりのパターンになりそうではあったものの、まったくNIKEに興味を示さなかったマイケル・ジョーダンと契約を結ぼうとするソニー・ヴァッカロを演じるマット・デイモンの、いつもながらの肩の力が抜けた演技がそうはさせなかった。ソニー・ヴァッカロが、1982年のNCAAトーナメントチャンピオンシップで決めたウィニング・ショットだけでもってマイケル・ジョーダンの才能を見抜くシーンは、マット・デイモンだからこそできる、おだやかでありながら、バスケットボールに対する愛情の深さをさり気なく示せる良いシーンだった。
だからこそ、マイケル・ジョーダンの母親デロリス・ジョーダン(ヴィオラ・デイヴィス)がソニー・ヴァカロを信頼して行くストーリーの流れも簡単に納得できてしまった。
そんな大ヒット作「AIR ジョーダン」を世に送り出したソニー・ヴァッカロのWikipedeiaを見ると記述内容がとても少ない。もしかすると実像も演じたマット・デイモンのようにさりげない人なのかな?とおもって、実際に行われたインタビューを読んでみたらやはりとても控えめな人だった。
【取材】エア ジョーダン生みの親、単独インタビュー ─ 映画『AIR/エア』主人公ソニー本人が語る秘話【前篇】
https://theriver.jp/air-vaccaro-interview1/
→ベン・アフレック→マット・デイモン→アメリカ/2023→MOVIXさいたま→★★★★