監督:今井友樹
出演:
制作:工房ギャレット/2024
URL:https://studio-garret.com/tsuchinoko/
場所:ポレポレ東中野

今井友樹監督の新作は『おらが村のツチノコ騒動記』。えっ? なぜいま、ツチノコのはなし? との疑問が真っ先にうかぶ。映画を観始めると、今井監督の故郷は岐阜県の東白川村で、全国的にもツチノコの目撃証言が多いところだそうだ。だからツチノコの映画を撮ったのだろうけれど、それでもなお、なぜいま、ツチノコのはなし? の感想は変わらない。

自分にとって「ツチノコ」を知るきっかけとなったのは、少年マガジンに連載された矢口高雄の漫画「バチヘビ」だった。東北地方ではツチノコを「バチヘビ」と云うそうだ。そのころ(1973年ころ)に、第一次? ツチノコブームが起きていた。小学生だったので、少年マガジンの巻頭特集によくあったUFOや雪男やネッシーなどとともに、その存在を疑うことはなくて、自分も発見したくてうずうずしていた。

それから月日が流れて、80年代に第二次ツチノコブームが起きた。今井監督が子供の頃にそのブームに巻き込まれたことが、この映画を作るきっかけだった。でも、ツチノコがいると信じる人たちと距離を取っていた監督が、そこには何かがある、と考えたきっかけは何だったんだろう? おそらくは、情報ばっかりあふれているこの世知辛い世の中への反発だとはおもうので、そこももう少し突っ込んで語って欲しかった。

ツチノコは、ヘビが大きなネズミを飲み込んだものなのか、それとも妖怪のようなものなのか、はたまた集団ヒステリーなのか。個人的には、それがすべて複合された結果ではないかとおもっている。永遠に見つかることは無いのだろうけれど、いるかも知れない、と考えられるゆとりのようなものがこの情報化社会には大切だとはおもう。

→今井友樹→→工房ギャレット/2024→ポレポレ東中野→★★★☆