監督:新藤兼人
出演:宇野重吉、乙羽信子、小沢栄太郎、千田是也、三島雅夫、稲葉義男、浜田寅彦、永井智雄、殿山泰司、清水将夫、永田靖、原保美、松本克平、中村是好、十朱久雄、森川信、三井弘次、内藤武敏、笹川恵三、金井大、中谷一郎、本郷淳、広井以津子、江角英明、原緋紗子、井川比佐志、田中邦衛
制作:近代映画協会、新世紀映画/1959
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場所:武蔵大学50周年記念ホール

今年も武蔵大学で行われた「被爆者の声をうけつぐ映画祭」を観に行った。今回は新藤兼人監督の1959年の映画『第五福竜丸』を選んだ。有名な映画だけれども観るのは初めてで、1954年(昭和29年)3月1日にアメリカの水爆実験で被曝した第五福竜丸の事件をドキュメンタリータッチで描いている映画だった。

新藤兼人監督の『裸の島』(1960)を観たとき、瀬戸内海の小さな島に住む4人家族の生活を淡々と、セリフ無しに撮る手法に驚いた。ドキュメンタリーに近い映画だけれども、もちろんカメラの構図はしっかりしているし、情緒的な音楽も入るし、長男の死と云うドラマティックなことも起こる。新藤兼人の映画がドキュメンタリーっぽい劇映画だとすると、原一男の映画は劇映画っぽいドキュメンタリー映画で、ドキュメンタリーと劇映画の境界線を意識するのにうってつけの映画だった。

『裸の島』の1年前に作られた『第五福竜丸』も、事実をしっかりと伝えるためにかドキュメンタリー調で撮られていたけれども、今ならばバイプレーヤーと云われる有名な脇役を大勢出演させていたので、俳優によりスポットが当てられたために劇映画の要素が強めになっていた。映画ファンとしては、大勢の脇役たちの演技を楽しむと同時に、歴史的な事件でもある第五福竜丸の被爆についてもしっかりと知識として得ることができたので、とても楽しめる映画になっていた。

映画が終わった後に都立第五福竜丸展示館の学芸員である安田和也さんによる講演があった。毎年、仕事の関係で夢の島にあるBumB東京スポーツ文化館へ行っているのだけれども、いつも第五福竜丸展示館の横を自転車で通り過ぎていた。今度は第五福竜丸展示館へ立ち寄ってみようとおもう。

→新藤兼人→宇野重吉→近代映画協会、新世紀映画/1959→武蔵大学50周年記念ホール→★★★☆